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 ふー、ふー。目をつむり、ヘッドホンから聞こえる女性の指示に促されて独特な呼吸法を繰り返す。手首にはアロマオイルが塗ってあり、息を吸うと優しいかんきつ系の匂いが鼻に広がる。開始直後は何となくしっくりこなかった呼吸もプログラム終盤には整い、それに伴って頭の中もすっきりとしていった――。

 『仕事のパフォーマンス向上を目指したい』『心身の疲れを和らげたい』。そんな人々の思いに応える‟構造物”が現れた。複数人がすっぽりと入る「メディテーションポッド」と呼ばれる製品である(図1)。瞑想(めいそう)する人々が増加し、「瞑想テック」でユニコーン企業も生まれた米国から日本に上陸した。筆者はその効果を知りたいと、早速体験しに行った。

 大きさは高さが265cm、底面の直径が225cm。同製品は木材を組み上げて造っており、利用者はこの内部に入って瞑想する。米オープンシード(OpenSeed)が開発し、ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン(東京・渋谷、以下ラッセル)などが健康経営に力を注ぐ日本企業などに向けて生産・導入支援を進める。

図1 「メディテーションポッド」
図1 「メディテーションポッド」
利用者は円状の椅子部分に座ってヘッドホンを装着する。(撮影:日経クロステック)
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 「現代人は絶えず情報を受け取っており、『何かしら』と接続し続けている状態だ」。ラッセル代表取締役CEOの大西茂久氏は、人々が大量の情報にさらされている状態を危惧する。「さまざまな思考にとらわれると、人間は集中すべきことに注意を向けられなくなってしまう」(同氏)。

 そこでラッセルが注力するのが「瞑想」だ。わざと日常から少し離れた時間を作り、仕事のパフォーマンスや、ストレスで弱っている精神の回復などを図る。‟瞑想先進国”の米国では、関連の市場が成長している。例えば、音声ガイドで瞑想をサポートするアプリを提供する米カーム(Calm)は、「(新型コロナウイルスの感染拡大前だが)ユニコーン企業(未上場で時価総額が10億ドル以上)としての評価を受けている」(同氏)。

 瞑想を実践する利用者が増えていく中、メディテーションポッドも気持ちを整える製品として生み出された。横開きの扉を開けると、内部には円状に座席が並ぶ(図2)。その上にヘッドホンが設置されている。入口付近にタブレット端末が置かれており、「リラックスしたい」「活動的になりたい」などの用途に合わせた瞑想コースを選択できる。

図2 構造物内部と端末
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図2 構造物内部と端末
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図2 構造物内部と端末
照明などで瞑想しやすい環境を整えている。「リラックスしたい」「活動的になりたい」などの気持ちに合わせてコースを選べる。女性の声で息を吸う・吐くといった指示を出し、利用者がコースで選択した気持ちになるように促す。(撮影:日経クロステック)