スマートフォンのセールスポイントがカメラ機能になって久しい。なかでもAI(人工知能)技術を活用した画像処理、すなわちソフトウエアで機能を高めることがトレンドである。だが、イメージセンサー自体の革新も引き続き進んでいる。そうした革新の1つが、「2層トランジスタ画素積層型」と呼ばれる新しい構造を採用したイメージセンサーである。
光電変換を担うフォトダイオード(PD)部と、アンプトランジスタやリセットトランジスタなどで構成する画素トランジスタ部を、別々のウエハー(基板)で形成して積層している。従来、PD部と画素トランジスタ部は同一ウエハー上に形成していた。
この構造によって、例えば明所の撮影性能を約2倍に高めて、ダイナミックレンジの拡大を図れる。加えて、ノイズも低減可能で、暗所での撮影性能を高められるという利点がある。
ソニーグループ傘下で半導体を手掛けるソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)が2021年12月開催の半導体分野の国際学会「67th International Electron Devices Meeting(IEDM 2021)」で発表した。その後、2023年5月にソニーが発表したスマホの新モデル「Xperia 1 V(マークファイブ)」に採用が決まった。同年秋に発表される見込みの次期「iPhone」にも、採用されると噂されている。
新しいタイプのイメージセンサーはもう1つある。それが「イベントベースビジョンセンサー(EVS)」だ。