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 2022年4月22日、政府は建築物省エネ法や建築基準法、建築士法、住宅金融支援機構法などを改正する「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下、脱炭素関連法案)を閣議決定した。同法案が可決され、改正建築物省エネ法などが施行されれば、25年度以降に新築する全建築物の省エネ基準への適合が義務化される。

国土交通省が公表した脱炭素関連法案の概要(資料:国土交通省)
国土交通省が公表した脱炭素関連法案の概要(資料:国土交通省)
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 住宅の省エネ基準への適合義務化は、これまでさんざん議題に上がっていたものの先送りにされてきた経緯がある。政府は18年にエネルギー基本計画で、「20年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する」という方針を掲げていた。こうした政府方針を受けて、積極的に省エネ性能の高い家づくりに取り組んできた建築実務者からは「ようやくか」という声が聞こえてきそうだ。

 同法案に注目が集まっている理由として、住宅の省エネ基準適合義務化の他に、建築基準法の改正による「4号特例の範囲縮小」がある。

 木造戸建て住宅などの建築確認で構造関係の審査を省略される「4号特例」では、建築士に構造基準への適合性確保責任が委ねられている。4号建築物を巡っては、05年11月の構造計算書偽造事件の発覚を機に建築確認手続きを厳格化した際、国交省が4号特例の見直しに言及。だが、確認手続き厳格化の影響で着工数の急減を踏まえて、「当分の間(4号特例を)継続する」と方針転換した経緯がある。