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「あ、猫。かわいいですね」

 先輩の威厳を醸し出す重要なシーンで、大失態である。2020年4月に日経BPに新卒入社し、『日経クロステック』に配属となった久保田龍之介記者とビデオ会議をしている時だった。

 記者という仕事の役割や取材のイロハなど、緊張感に満ちたレクチャーにしようと思っていたのに……。我が家の猫はお構いなしに、パソコンの前を横切るのであった。

先輩の威厳を台無しにした犯人(犯猫)
先輩の威厳を台無しにした犯人(犯猫)
(撮影:筆者)
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 新型コロナウイルスの感染拡大によって、日経BPも3月下旬から在宅勤務に移行した。予定していた取材や発表会は中止になり、米国出張もキャンセルになった。こればかりは仕方がない。気持ちを切り替えて、この春はのんびりしようと決めた。

 その決意を無慈悲に打ち砕くメールが3月31日の夕方に届いた。件名は「20新卒チューターのお願い」。送り主は人事室。嫌な予感しかしない。

 簡単にメールの内容を説明すると、4月9日から現場に配属させるのでチューター(新人の教育係)をよろしく、である。新人教育は膝を突き合わせてやるのが基本。そう思っていた古いタイプの人間にとって、寝耳に水の一報だった。

 そして迎えた4月9日。新人を迎え入れる期待感よりも、不安の方が大きかったのが正直なところだ。久保田記者との「初めまして」は画面越しだった。米マイクロソフト(Microsoft)のチャットツール「Microsoft Teams」のビデオ会議機能を使い、人事や編集長を交えての顔合わせとなった。