日本マイクロソフトが2018年5月22~23日に開催した開発者イベント「de:code 2018」。会場を埋めた参加者の大半は男性である。そんな中、基調講演に登壇した日米のマイクロソフト幹部5人のうち、4人は女性だった。
基調講演後、その4人によるセッション「Women in Technology」を取材した。米マイクロソフト(Microsoft)のジュリア・ホワイトAzure Marketingコーポレート・バイス・プレジデント、同じくコーポレート・バイス・プレジデントでDeveloper Divisionのジュリア・リウソン氏、Mixed Reality Studios ゼネラルマネージャーであるロレイン・バーディーン氏が登壇。進行役を務めたのは日本マイクロソフトの伊藤かつら執行役員常務である。
テーマは「女性のキャリアにおける危機を乗り越えるヒント」。きっと人並み外れたパワーや努力で困難を突破した話が披露されるのだろう――。そんな先入観を抱いていたが、実際は「多くの人の前でプレゼンテーションすることの恐怖感」「子供を置いて仕事に出かけるときの罪悪感」など、意外なほど身近な悩みや苦労が多く語られた。
中でも登壇者の発言が熱を帯びたのは、会場から「短時間勤務の人はいかに成果を出すべきか」についての質問が出たときだ。米マイクロソフトの3人の幹部は立て続けにマイクを取り、別々の言葉で、ある共通のメッセージを伝えた。
それは「自分はどこまで働けて、どう働きたいか。それを会社や上司にはっきり伝えるべき」というメッセージだ。
自分の境界線を臆することなく伝える
口火を切ったのはホワイト氏。女性が出産を経て職場復帰する際、「自分がとにかく頑張らなければならない、それができなければ辞めなくてはならないと考えがち」だと指摘した。しかし、「自分はこう働きたい、自分の“境界線”はここまでだと伝えることが大切で、そのときに『すみません』と謝る必要はない。あなたが良い社員なら、会社はあなたのニーズに応えてくれるはず」と語った。
リウソン氏が続けた。「要望は会社だけでなく、同僚にも伝える。例えば午後5時には帰らなくてはならないと明確に伝えれば、午後5時以降は会議を設定しないでおこうといった配慮をしてくれる」。