全3354文字
PR

 ブラジル人学校に転校させるという母親の申し出で日本の小学校を除籍となった後、そのまま不就学となった6歳のブラジル人の少女。学校からのサポートを受けられなくなった彼女は、母親の交際相手からの虐待が原因で命を落とした。

 日本で働く中国籍の父親を頼って来日し、日本の公立中学校に編入した中国人の少年。「言葉が通じず、学校が面白くなかった」ために除籍し、不就学となった。その後、強盗傷害容疑で逮捕され、少年院に入った。

 日本人と再婚した母親を心配して来日したフィリピン人の16歳の少女。日本の高校に編入するには原則として入試を受けて合格しなければならない。入試問題の言語は日本語だ。中学生向けの学習支援教室に週に一度通い始めたものの、精神を病んだ母親の無理心中に巻き込まれて亡くなった。

 いずれも、外国籍の子どもたちに対する教育の実態を調査した毎日新聞取材班編『にほんでいきる 外国からきた子どもたち』(明石書店)の中に登場する実話だ。毎日新聞のキャンペーン報道を書籍化したもので、出版は2020年12月。私は発売後すぐに購入した。涙なしには読み進められなかった。

特別支援学級に入る子ども、外国籍は全小中学生の2倍

 同書にはほかにも衝撃的な事実が書かれている。「日本語が十分に理解できない外国籍の子どもらは、発達障害を持っていると判断されやすく、特別支援学級への入級を勧められる傾向がある」。

 文部科学省は2017年2月、群馬県太田市や静岡県袋井市など外国人住民の多い25市町を対象に2016年5月時点で公立学校の特別支援学級に在籍する外国籍の子どもたちの数を調査した。結果を毎日新聞取材班が情報開示請求して入手し、太田市や愛知県豊橋市などについては2019年5月時点でのデータに置き換えて算出したところ、25市町について日本人を含む全小中学生のうち特別支援学級に在籍する子どもの割合は2.54%だった。それに対し、外国籍の小中学生のみに絞ると2倍超に当たる5.37%が特別支援学級に在籍していた。

 同じ市町を対象にした日本経済新聞の調査によると、2020年度は25市町の全小中学生のうち特別支援学級に在籍する子どもは3.2%だったのに対し、外国籍の小中学生に限れば6.5%と、やはり約2倍の開きがあった。

 背景として「知能指数(IQ)検査は基本的に日本語で実施されるため、外国籍の子どものIQが正確に測れていない可能性」(『にほんでいきる』)や、「日本語指導が必要な外国籍の小中学生を受け入れる態勢の不備」(日本経済新聞2021年5月10日付)が指摘されている。

 文科省が2020年3月に発表した2019年度の調査結果によると、小学生や中学生の学齢に相当する外国人の子どもは約12万3800人。このうち不就学の可能性があると考えられる子どもの数は約2万人に上る。

 文科省は「子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境」という理念の下で全国の小中学校などに児童・生徒1人につき1台の学習用端末と高速ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」を推進している。同省は2021年5月18日、目標としていた2021年3月末までに96.5%の自治体で端末が児童・生徒の手元に渡り、インターネットの整備を含めて学校での利用が可能になったと発表した。

小中学校などへの学習端末の納品状況。2021年3月末までに96.5%の自治体で端末が児童・生徒の手元に渡り、学校での利用が可能になった
小中学校などへの学習端末の納品状況。2021年3月末までに96.5%の自治体で端末が児童・生徒の手元に渡り、学校での利用が可能になった
(出所:文部科学省)
[画像のクリックで拡大表示]