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 全国的な緊急事態宣言が終了し、多くの企業の興味は「新型コロナ後(アフターコロナ)」に移りつつある。アフターコロナに向けて情報システム部門は何をすべきか。そんなテーマでコンサルタントやCIO(最高情報責任者)、経営者の方々に取材している。

 そこで分かってきたのは「今、変革に着手しないとアフターコロナ時代は生き残れない」という危機感だ。いつ新型コロナウイルスの影響が薄らぐのか、経済がどのようなタイミングで回復するのか、現時点で見通せることはほとんどない。ただ共通しているのはアフターコロナに向けて「情報システム部門は何が起こっても、事業を継続するための支援ができるように備えておくべきだ」という見解だ。そのために欠かせないキーワードが「変革」である。

 企業システムの観点から新型コロナウイルス対応を振り返ると、2020年3月中旬から4月7日の緊急事態宣言の発令まで、可能な限りテレワークを実現するための環境を整えることが最重要課題だった。自宅に持ち帰ることが可能なPCの配布といったハードウエアの準備、自宅から社内の環境にアクセスするためのネットワーク環境やDaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)などの整備、コミュニケーションを支援するためのチャットツールの導入などだ。

 これらの施策はいわば「緊急避難」の対策だ。新型コロナウイルス対応として、通常だったら数年単位で実施していたかもしれないテレワーク環境の構築を、数カ月で実現しなければならなかった。あるITコンサルタントは「緊急事態宣言が明けてから『急に準備したテレワーク環境のセキュリティー対策が心配だ』という相談が相次いでいる」と打ち明ける。多くの企業の情報システム担当者が「在宅勤務を何とか実現しなければ」と考えている証拠だろう。

 しかし緊急避難の対策でアフターコロナを乗り切れないのは明白だ。ニューノーマルとも言われているように、新型コロナウイルスによって新しい生活やビジネスモデルがやってくるからだ。新型コロナウイルス感染の第2波、第3波以外にも、未知のリスクに対応するための生活様式やビジネスが求められている。

「廃止は無理」の印鑑が消える

 だからこそ新型コロナウイルス対応が一段落したから以前と同じに戻るのではなく「今をチャンスと捉えて変革していくことが求められている」と、様々な立場の識者が指摘する。ここでいう変革とは業務やビジネスのデジタル化であり、今度こそ本当にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要になってくるのだ。

 分かりやすい例が在宅勤務をより推進するために必要な施策を実施することだ。新型コロナウイルス対応が後押ししたDXの動きの1つとして顕在化してきたのが働き方のDXだ。政府からの要請による在宅勤務に加え、在宅勤務を阻む壁として請求書などの紙の書類や印鑑などの廃止に着手する企業が増えている。