民泊は楽しい。個人的にはそう思っている。今では宿泊先を決める際には、まずは民泊で宿泊先を探す。最適な宿泊施設が見つからなかったときに、初めてホテルを探す。
今年米国に行った際も、民泊を使った。小さなアパートメントで、オーナーは女性のミュージシャン。練習スタジオ兼セカンドハウスのように使っていて、私が滞在する際は、友人宅に宿泊していた。たまに顔を合わす彼女は「これから近所でライブしてくるね」と親戚のお姉さんのようだった。たまたま隣にあったホテルがあり、価格を調べてみると2倍以上。彼女との出会いや価格を考えれば、また民泊を使いたいなと思わせるに足る体験だったと思う。
日本でも2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行される。日本ではそれまで民泊は「グレー」とされ、宿泊施設を提供するホストを「業」とするかどうかでその見解は分かれ、議論は平行線をたどっていた。民泊法は、そこに一定の線引きをした形だ。都道府県知事への届け出をし、180日以内であれば、民泊のホストとして宿泊施設を運営できることとなった。旅館業法で求められる一部の条件を緩和した形だ。
民泊法の施行に合わせていち早く動いたのは、ホストとなる個人ではなく、企業だった。市場成長を見込み、多くの企業が民泊運営元と手を携えた。セブン-イレブン・ジャパンを筆頭に大手コンビニエンスストア3社は、店頭で鍵の受け渡しができる専用ボックスを設置するなど民泊関連事業の立ち上げに躍起だ。既存店売上高が伸び悩むコンビニ業界にとって、客数増を見込める救世主と言わんばかりだ。
遊休資産を生かそうと、不動産関連事業者も動く。リクルートホールディングス傘下のリクルート住まいカンパニーは、同社が運営する不動産情報サイト「SUUMO」掲載の空き物件をエアビーアンドビーに掲載する。物件を掲載する賃貸管理会社やオーナーに対して、空き室を民泊として活用できるよう提案し、運営も支援するという。