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 「我々のターゲットの1つが『ビルト・エンバイロメント・テック』だ」。米シリコンバレーに駐在し、現地のスタートアップ企業との協業を担当する大林組ビジネスイノベーション推進室の佐藤寛人部長が、オンライン取材の際に舌をかみそうな言葉を口にした。英語で表記すると「Built Environment Tech」。直訳すると「建物環境テック」。うーん、分かったようでよく分からない。

米シリコンバレーでスタートアップ企業との協業を担当する大林組ビジネスイノベーション推進室の佐藤寛人部長(左の人物)(写真:日経コンストラクション)
米シリコンバレーでスタートアップ企業との協業を担当する大林組ビジネスイノベーション推進室の佐藤寛人部長(左の人物)(写真:日経コンストラクション)
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 佐藤部長によると、建設テック(Construction Tech)と不動産テック(Property Tech)の中間ぐらいの位置付けだという。建設テックのように建物や社会インフラをつくる段階のテクノロジーではなく、建てた後に焦点を合わせる点で不動産テックに近いが、不動産業の“ど真ん中”である売買や賃貸の仲介などはメインターゲットではない。

 分かりやすく説明すると、完成して運用段階にある建物を、センサーや取得したデータ、アプリケーションによって、より良いかたちに変えていくテクノロジー。なるほど、IoT(モノのインターネット)を活用して空調や照明などを制御し、快適性を高めつつエネルギー消費量を削減するスマートビルやその要素技術などは、建物環境テックに当てはまるというわけだ。

 筆者もウェブや雑誌の記事、あるいは書籍を執筆する際に「この技術は建設テックとは言いづらいけど、不動産テックでもないよな」などと思うことがしばしばあったものだから、語感や字面がいまいちな点や、スマートハウスなど住宅分野を含めるかどうかはさておき、「建物環境テック」というカテゴライズは腹に落ちた。 調べてみると、日本建築学会にも2021年4月に「サステナブル・ビルト・エンバイロメント研究小委員会」(主査:加用現空・東京都市大学教授)なる委員会が立ち上がっている。

 そうした視点で改めて見てみると、建物環境テックとおぼしき技術やサービスを提供する企業はかなりある。例えば、米Google(グーグル)の兄弟会社で、都市開発・運営にまつわるソリューションを手掛ける米Sidewalk Labs(サイドウォークラボ)。同社は20年、賃貸オフィスの省エネルギー対策を手軽にできる「Mesa(メサ)」と呼ぶ製品を発表した。

サイドウォークラボの「Mesa」。カメラを使用せず、プライバシーに配慮した(資料:Sidewalk Labs)
サイドウォークラボの「Mesa」。カメラを使用せず、プライバシーに配慮した(資料:Sidewalk Labs)
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