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 新型コロナウイルス感染症の拡大で4月から5月にかけ、多くの方が自宅で過ごす時間が長くなったと思われる。私が住むマンションもその例に漏れず、さまざまな対応を余儀なくされた。共有設備の利用中止などを進める中、5月中旬、「アルミ缶のつぶし方」と題する案内が掲示された。「アルミ缶は縦につぶさず、横につぶすようにして下さい」というものだった。

横方向につぶしたアルミ缶
横方向につぶしたアルミ缶
このように横につぶさないと、後工程でのトラブルになるという
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つぶし方で回収後の工程に大きな影響

 実は、この案内の前に「アルミ缶はつぶして出してください」という案内が掲示されていた。新型コロナが広がる中、業者による回収頻度が低くなる可能性があり、ゴミ捨て場の収容量を節約し、回収業者の運搬能力をオーバーしないように減量してほしい、という趣旨である。自宅で過ごす時間が増え、(これはアルミ缶に限らないが)通常よりもゴミの排出量も増えていることを考えると納得のいく話ではあるが問題だったのが、このチラシに掲載された写真が「縦につぶした缶」だった点だ。

 最初の案内にこう掲載されては、多くの住民が同様につぶしたことだろう。私もその1人だった。ところが、その取り組みを開始してすぐ、回収業者から「アルミ缶を縦につぶしては困る」という要望が寄せられたという。「回収したプレス機でブロック状にしてから再資源化する業者に出すが、縦につぶされた缶があるとブロックが分離しやすくなる」とのことだった。縦につぶすと、強度が高い上下のふち部分だけが残り、缶同士がうまくかみ合わないようだ。そして、冒頭の2つ目の案内への掲載につながったわけだ。

 恥ずかしながら、缶のつぶし方で後工程に影響が出るとは気づかなかった。減量化は自宅内でためるスペースも節約できるので、やぶさかではない。当初、「縦につぶして」という掲示を見た時も「縦につぶすのは難しいのでちょっと面倒だが、この方が容量を削減できるのかな」と大きな疑問は持たなかった。

 調べてみると、アルミ缶リサイクル協会や環公害防止連絡協議会などでは、アルミ缶を横につぶす方を推奨している。アルミ缶リサイクル協会に聞いたところ、確かにブロック状(20~40㎏ほどになる)にした際、縦につぶした缶が多いと、ブロックが崩れやすくなるとのことだった。また、缶は縦方向の力には強いので縦につぶすのは難しい。消費者がやりやすいよう軽く横につぶすのを推奨しているとも話してくれた。

後工程の事情は一律ではない

 ただし「アルミ缶は横につぶして出す」が唯一の正解ではない。資源ごみの出し方は自治体によって異なるからだ。例えば横浜市ではアルミ缶、スチール缶、ペットボトル、ビンを分けないで袋に入れて出す。回収後に手作業や機械で分別する。このため、同市では基本的に「缶はつぶさずに出す」を推奨している。手作業での分別時に、つぶしてあると表面が見えずスチールとアルミの判別がしにくいことがあるようだ。一方、私が住む自治体の場合、大まかにいえばビンとペットボトル、缶はアルミとスチールに分けて出す。

 また、近年は資源ごみを自治体が回収するのではなく町内会や学校などの単位で収集してリサイクルする「自主的集団回収」も増えている。アルミ缶リサイクル協会によると、家庭で消費されて回収されたアルミ缶の半分以上が自主的集団回収となっている。ちなみに、アルミ缶の日本での消費量は2018年度に約33万t(217億缶)で、再生利用量は約31万t。リサイクル率は93.6%である。

 自主的集団回収の場合には契約している回収業者の事情で推奨方法が異なってくる。缶がつぶしてあるとうまく処理できない機械を使っている場合もあるという。もちろん、自治体によっても回収処理のプロセスは異なり、それ等に応じて最適な出し方は異なってくる。「アルミ缶を縦につぶすのはNG」というのは間違いなさそうだが、つぶすかどうかや分けるかどうかなどは変わってきそうだ。