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 「電源構成における再生可能エネルギー(再エネ)の比率が低い日本では、電気自動車(EV)が増えても二酸化炭素(CO2)の削減にはつながらない」――。自動車業界で取材をしていると、こうした主張をよく耳にする(図1)。

図1 日本の道路ではEVが連なる様子はあまり見かけない
図1 日本の道路ではEVが連なる様子はあまり見かけない
車両はドイツAudi(アウディ)のEV「e-tron」シリーズ。(写真:アウディジャパン)
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 周知の事実だが、日本の電源構成における再エネの比率は、EVの販売が堅調に伸びる欧州連合(EU)の各国に比べると確かに低い。資源エネルギー庁によると、2020年度の日本の発電電力量のうち、再エネの比率は19.8%にとどまった。化石燃料による火力発電の比率は76.3%に達する。

 現状の日本の電源構成では計算上、EVに充電する電力の多くが発電時にCO2を排出して造ったものである可能性が高い。前述のような主張もうなずける。

 ただ最近、こうした見方を考え直す機会があった。筆者が取材で訪れた岡山県真庭市は2020年1月時点で、市内の消費電力のうち62%を再エネで賄っているという(図2)。国内全体の電源構成を見ると再エネの比率が低い日本だが、自治体単位で見ると、同市のように化石燃料への依存が少ない地域も存在する。

図2 真庭市役所
図2 真庭市役所
同市役所の庁舎は消費電力の100%を再エネで賄っている。(撮影:日経Automotive)
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 真庭市は岡山県北部に位置し、面積は約828km2(東京都23区の1.3倍)。人口は約4.3万人(東京都23区の0.4%)だ。同市の面積の約8割が森林で、日本有数の木材の集散地として知られる。