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 気になる話を聞いた。現在、自動車メーカー各社は電動化に向けてモーター技術者をかき集めている。ところが、そのモーター技術者が少しずつ流出しているという。転職先は、日本電産などのモーターメーカーが多いようだ。

エンジンとモーターの違い

 流出が増えている理由はさまざまだろうが、モーター技術者と自動車メーカーが必ずしも相思相愛ではないことが大きいと筆者は考えている。電動化対応が急務の自動車メーカーからすると、モーター技術者は喉から手が出るほど欲しい存在だ。一方、モーター技術者からすると、自動車メーカーでなくても車載モーターは開発できるし、車載にこだわらなければ他にいくらでも活躍の場がある。そのあたりの事情は、これまで主力の動力源だったエンジンと大きく異なる。

 エンジンにとって自動車は常に最先端の用途だった。エンジン車全盛時代のエンジンは自動車そのものといっても過言ではなく、エンジン技術者は花形職種だった。裏を返すと、せっかく培った知識や経験を他業界に生かすのが難しいという側面もあり、同業他社はともかく他業界に転職しようという動機は生じにくい。

(画像:123RF)
(画像:123RF)

 モーターにとっても自動車は最先端の用途だが、それでも数ある用途の1つにすぎない。さらにいえば、電動車両においてモーターが中核部品であることは論をまたないものの、電池や半導体など他の部品の重要性も高まっており、かつてのエンジンほど絶対的な存在ではない。そのため、「会社が開発しようとしている電動車両と自分が開発したいモーターの方向性が合っていない」というような事態になれば、積極的に転職を検討しても不思議ではない。