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人手不足解消策と従業員削減策の根は同じ

 現在、記者は企業を対象にした上記とは別のある調査に携わっている。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に関する質問の自由記入欄に次のような記述があった。「一部業務のRPA化を進めている。完成すると従業員が10人程度不要となる。会社としてはコストカットのメリット大だが、従業員としては複雑だ」。

 RPAは「人手不足解消の切り札」「従業員を単純作業から解放する」などの枕詞で語られる一方、これまで人手をかけていた業務をITが肩代わりする点で人員削減の道具になるのは上記コメントの通り。ポジティブな表現を使おうがネガティブに捉えようが、従業員の就労時間は減る、あるいは別の業務に費やす時間を増やせることに変わりはない。

 前者なら短時間勤務がしやすくなるだろうし、後者であれば創造的な業務の比率を上げられるのだろう。だが、ここに大きなギャップがある。さらっと書いたが、そもそも創造的な業務とは何か。クリエイティブな環境とはどんなところか。創造的、クリエイティブと言った瞬間にそのハードルはぐっと上がる。

いまだ第3次産業革命の途上

 働き方改革の目的の1つに生産性の向上がある。生産性とは単純に言えば、製品やサービスなどの「付加価値」をヒト・モノ・カネといった「投入資源」で除したものである。「生産性=付加価値÷投入資源」であり、分母を減らすか、分子を増やすかすれば生産性は上がる。

 RPAの例では、人手がかかっていた業務において「ヒト」がいらなくなり、分母が減るため生産性は向上する。一方、RPA導入で人が別の業務に費やす時間を増やして新たな価値を生み出すと捉えれば、分子が増えて生産性が上がる。

 ただ、実際には分子を増やすのは容易でなく、これがWorks Indexの学習活動の減少に表れているのではないだろうか。人は何か新しい業務に取り組む際、少なくとも人に聞いたり、関連しそうな文献を読んだりして学ぼうとする。働き方改革で「創造的な業務」の時間が増えたのであれば、学びの機会や時間は増えたはずだ。だが、Works Indexからその兆しは見えず、むしろ低下している状況だ。

 Works Indexによると、残業時間の削減や休暇の取得は確かに進んでいる。RPAの導入やテレワークの普及などITが寄与し、生産性の分母を減らす取り組みは順調のようだ。とはいえ、これはITによる自動化を進める「第3次産業革命的」な動きであり、新しい何かを生み出したわけではない。

 もちろん人口減少社会、超高齢社会を迎えた日本において人手不足解消は喫緊の課題であり、そこにITを活用するのは期待されこそすれ、何ら躊躇することではない。ただ、人手不足解消を金科玉条とするあまり、AIを導入しようがIoTに取り組もうが第3次産業革命的な発想に終始し、「その先にある新しい何か」に進めない状況に陥ってはいないか。学習活動の減少という調査結果からそんな危惧を抱いてしまった。ただの妄想に終わればいいのだが。