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 公正取引委員会が「共通ポイント」の取引実態調査を公表した。共通ポイントの運営事業者に対し、加盟店が競合の共通ポイントを導入する行為を制限すれば、独占禁止法上、問題となる恐れがあると指摘した。にもかかわらず、運営事業者からは「影響は限定的」という声が漏れる。なぜか。

 公取委は2020年6月12日、業種や企業をまたいでためたり、買い物の支払いに使ったりできる共通ポイントの取引実態調査を公表した。独禁法や競争政策の観点で問題になり得る取引慣行などの有無を調べたり、共通ポイントの運営事業者によるデータの収集や利活用の実態を明らかにしたりするためだ。

公正取引委員会は2020年6月に共通ポイントに関する取引実態調査を公表した
公正取引委員会は2020年6月に共通ポイントに関する取引実態調査を公表した
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 なぜ公取委は共通ポイントに狙いを定めたのか。理由は「プラットフォーマー」として共通ポイントの存在感が高まっている実情がありそうだ。

 公取委の調査では、7割以上の消費者が共通ポイントカードを持っていた。さらに買い物の際に共通ポイントカードを必ず使う人の割合も6割を超えていた。公取委がデジタル領域の競争環境の整備に力を入れるなか、共通ポイントの運営事業者にも矛先が向いた格好だ。

「事前承諾条項」が壁に

 今回の調査を受けて、公取委が指摘した課題の1つが、共通ポイントの運営事業者による加盟店の「囲い込み」だ。運営事業者が自社の共通ポイントを導入している加盟店に対し、競合の共通ポイントの導入を妨げる行為が独禁法上の「排他条件付取引」に当たる恐れがあると指摘した。

 公取委の調査によると、加盟店の1割弱が加盟店契約上、他社の共通ポイントを導入できない仕組みになっていた。特に加盟店が「マルチポイント」に移行する際の壁になっていたのが「事前承諾条項」と呼ばれる取り決めだ。

 事前承諾条項とは、加盟店が他社の共通ポイントの採用を検討したり、実際に導入したりする場合に、運営事業者の事前承諾が必要というものだ。公取委の調査では、事前承諾条項の影響で、交渉が長期化したり、導入を断念したりした加盟店が一部存在した。

 こうした実情を踏まえ、公取委は加盟店が他社の共通ポイントの導入を希望した場合、事前承諾条項があったとしても、それが加盟店の制約にならないようにすることが望ましいと提言した。