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 老朽化した水道管が破損する事故が後を絶たない。普段目に見えない地中で何が起こっているのかご存じだろうか。

 厚生労働省によると、2019年度に全国の水道管の総延長約73万kmのうち40年の法定耐用年数を超えた管路の割合は19.1%となった。水道管を大量に敷設した高度経済成長期から半世紀以上がたち、耐用年数を超える割合は今後、さらに上昇していく。

 水道管は40年を超えたら一律で使えなくなるわけではない。法定耐用年数とは、減価償却計算に使う税制上の年数だ。厚労省は、実務上の一般的な更新基準を60年としている。

 とはいえ、60年を過ぎるまでに交換すれば安全なのかどうかは疑問が残る。例えば静岡県菊川市では、設置して50年の水道管が破損し、断水や水圧低下の影響が22年5月20日から23日にかけて約6700世帯に及んだ。

静岡県菊川市で断水の原因となった水道管。設置から50年が経過している(写真:菊川市)
静岡県菊川市で断水の原因となった水道管。設置から50年が経過している(写真:菊川市)
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 破損した水道管は直径10cmの塩化ビニール製で、路面から約1.2mの深さに埋設されていた。市によると、現場は大型車の交通量が多く、水道管にかかる負荷が市内の他の箇所よりも大きかった可能性がある。

 市は、基幹管路や60年が経過した水道管を優先的に更新していた。市水道課の担当者は「破損した水道管は基幹管路に該当しない。今後は、更新基準などの見直しを検討する」と話す。