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 「ツイッターダニ」と呼ばれるダニが日本にいることを最近知った。Twitterに投稿された写真がきっかけとなって発見されたためにこう呼ばれているそうだ。SNS(交流サイト)に寄せられる情報が宝の山だとはよく言われるものの、小さなダニの新種発見にまでつながっているとは驚いた。使い方さえ間違えなければ、SNSは生物多様性の理解や保全のための強力な武器になるかもしれない。

Twitterの投稿がきっかけとなり発見されたイワドハマベダニ
Twitterの投稿がきっかけとなり発見されたイワドハマベダニ
(出所:法政大学自然科学センター・国際文化学部 島野智之教授)
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 法政大学自然科学センター・国際文化学部の島野智之教授らの研究グループは2022年5月、海岸に生息するダニの新種「イワドハマベダニ(学名:Ameronothrus retweet)」を発表した。目を引くのは学名の後半(種小名)にある「retweet」という単語である。これはまさしくTwitterのシェア機能であるリツイートのことを指している。なぜこんな名前になったのか。

 さる2021年3月、島野教授らの研究グループは同じくハマベダニ属の新種として「チョウシハマベダニ(学名:Ameronothrus twitter)」を発表している。アマチュアカメラマンの根本崇正氏がTwitterに投稿した写真が島野教授の目にとまり、新種発表に至った。チョウシハマベダニは「Japanese Twitter Mite(日本のツイッターダニ)」として、海洋生物種の世界登録簿(World Register of Marine Species、WoRMS)がまとめる「2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10」にも選ばれるなど話題を呼んだ。

 この「ツイッターダニ」のニュースを見た鳥取大学大学院生の大生唯統氏が「今話題のハマベダニってこれのことだろうか?」と自分が撮ったダニの写真を投稿。投稿を見た島野教授らと研究を進めた結果、「ツイッターダニ」ではない別の新種であることが分かり、このたびTwitterでの縁にちなんで「リツイートダニ」として発表されたのだ。

イワドハマベダニ発見のきっかけとなったTwitterでのやりとり
イワドハマベダニ発見のきっかけとなったTwitterでのやりとり
(出所:法政大学自然科学センター・国際文化学部 島野智之教授)
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 一般ユーザーからの投稿が新種発見につながり、そのニュースがまた次の新種発見につながった――。今回のイワドハマベダニの発表は、SNSがまさにネットワークとして良い方向に機能した好例と言える。