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 2020年7月中旬に政府から出される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2020)」では、アフターコロナの新常態を実現するためのデジタル化の推進策が数多く挙げられる。中でも注目されるのは、「デジタル円」の発行に関する言及があるかどうかだ。自民党金融調査会がこのテーマを巡ってここ数カ月、調査と議論を重ねてきたものである。

 デジタル円とは、日本銀行が発行するデジタル通貨を指す。電子マネーやキャッシュレス決済サービスとは違い、紙幣と同じ法定通貨をデジタルとして実現するものだ。中央銀行が発行するデジタル通貨を「CBDC(Central Bank Digital Currency)」と呼び、いま世界各国の中央銀行がこぞって実証実験や導入準備を進めている。

 CBDCに関する各国の検討は、暗号資産「ビットコイン」の普及とともに始まり、米Facebookが2019年6月に発表したデジタル通貨「リブラ」が火を付けた。それから2020年初めにかけて議論が白熱してきたが、それでも「CBDCの導入には先進国でもあと5年くらいかかる」とみられていた。

 だがここに来て新型コロナ禍で一気に議論が沸騰し、様相が変わってきた。

 まず、CBDCの研究が最も進んでいた中国が2020年2月、新型コロナウイルスの感染予防のために紙幣の消毒が行われる中、国有銀行大手の幹部などが新型コロナ対策のためにCBDC発行を加速させる可能性について言及。米国でも同3月、米下院で新型コロナウイルスの被害者救済策として「デジタルドル」で支援金を提供する草案が出された。デジタルドルは米国がCBDCとして検討するとしている。

 さらに国際決済銀行(BIS)でも同4月に公開したリポート「新型コロナウイルス感染症、現金、未来のペイメント」の中で、「パンデミックによってCBDCのニーズが高まるかもしれない」と述べている。