アジャイル型のプラクティスは働き方改革にも有用――。こう実感したのが乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を提供するヴァル研究所の取材だった。
現在、追加開発とリリースを短期間に繰り返すアジャイル開発が広まっている。ビジネスの急激な変化にシステムを追従させるには、アジャイル開発の手法が適しているからだ。
そこで筆者は、開発現場にアジャイル開発の一部のプラクティスをピンポイントで取り入れる「ここだけアジャイル」という特集を日経SYSYTEMSの5月号で執筆した。従来のウォーターフォール型の開発に慣れた現場を、いきなりアジャイル開発に全面移行するのは無理がある。ビッグバン的にアジャイル開発を導入し、混乱を招いた現場は少なくない。一部のプラクティスを取り入れるだけなら、現場も混乱せずプロジェクトもより円滑に進むのではないかと考えたからだ。
チーム開発が核になるアジャイル開発の現場では、タスクボード、KPT(Keep Problem Try)ボードなどのツールがよく利用される。タスクボードは「todo」「doing」「done」という3つエリアを設けて、それぞれのエリアにチケットを貼り付けて、進捗を管理できるもの。KPTボードは、良かった点(Keep)、問題点(Problem)、これから試したい点(Try)を記録していくボードだ。
これらは、プロジェクトの進捗を見える化したり、仕事の進め方を確認したりするのに欠かせない。ヴァル研究所では、各種ボードを使った業務の見える化が、開発部門だけではなく総務部門にまで浸透している。