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 政府が民間企業の賃上げに口出しすることから、「官製春闘」と呼ばれるようになった春の労使交渉。建設会社にとって、国土交通省などが工事の入札に賃上げ企業への優遇措置を導入した2022年は一段と官製色が強まった。

2022年5月16日に開かれた国土交通省関東地方整備局と日本建設業連合会との意見交換会の様子。技能労働者の処遇改善などもテーマに上がった(写真:日経クロステック)
2022年5月16日に開かれた国土交通省関東地方整備局と日本建設業連合会との意見交換会の様子。技能労働者の処遇改善などもテーマに上がった(写真:日経クロステック)
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 22年3月期に多くの建設会社が減益だったにもかかわらず、ベースアップ(ベア)を実施する会社が相次いだ。大手の中には、労働組合の要求額に上乗せしてベアを回答する会社も多かった。

 その要因の1つが、国の入札優遇制度であることは間違いない。大手建設会社の場合、3%以上の賃上げを実施すると表明すれば、総合評価落札方式の入札で加点を受けられる。

 ただし、この加点制度はあくまで元請けの社員の給与だけが対象である点に注意が必要だ。現場で働く技能労働者の給与は関係ない。

 そもそも、元請けの社員は比較的恵まれている。大林組、鹿島、清水建設、大成建設の大手4社の有価証券報告書(22年3月期)によると、従業員の平均年収は960万~1130万円だ。かなりの高水準といえる。準大手や中堅クラスでも、給与は決して悪くない。