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目的先に応じてVelib、ofo、Uber、Metroで選べる

 パリでは1日に取材を3~4件近く回ったが、市内の移動はまったく苦にならなかった。パリ市内は流しのタクシーがほとんどない一方、近距離ならVelibかofo、遠距離ならUber(ライドシェア)かMetro(地下鉄)と、移動手段の選択肢が豊富だったからだ。

 国内外問わず革新的なサービスを柔軟に取り込み、豊富な選択肢を市民に提供するパリ市の交通インフラは、一朝一夕にできたものではない。

 パリ市が2007年にVelibサービスを始めた背景には、パリ市内の交通渋滞や駐車場の不足を緩和し、環境に優しい自転車の利用を促進することがあった。合わせて自転車専用レーンも整備し、自動車から自転車への転換を促した。

 近年流行っているカーシェアについても、パリ市は2011年という早い時期に「Autolib」というサービスを始めている。

Velibに続いてパリ市が2011年に始めた電動自転車のシェアサービス「Autolib」。満充電の状態で道路に停められている
Velibに続いてパリ市が2011年に始めた電動自転車のシェアサービス「Autolib」。満充電の状態で道路に停められている
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 「乗り捨て型」という新しいシェア自転車の形態についても、パリ市は率先して取り入れた。

 中国で爆発的に普及した乗り捨て型の自転車シェアサービスは、中国の都市にまたたくまに広がった一方、社会問題も引き起こしている。事業者がデポジット(預り金)を原資として野放図に自転車の台数を増やした結果、街が放置自転車であふれかえってしまったのだ。

中国・上海の駅前で大量に駐輪され、歩道をふさいでいるシェア自転車(2017年撮影)
中国・上海の駅前で大量に駐輪され、歩道をふさいでいるシェア自転車(2017年撮影)
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 一方のパリでは、ofoをはじめとするシェア自転車は、意外なほど街に溶け込んでいる。元々パリは自転車をワイヤーで留めるポールが街のそこかしこにあるなど、自転車の駐輪に不自由しない街である。加えて、街に展開する自転車の台数を適切なレベルに抑えているのも、中国のような事態に陥っていない要因の一つだ。

 乗り捨て型自転車には数々の問題があり、事業モデルはまだ確立しているとはいえない。ofoよりも早い2017年10月にパリ市で自転車シェアを展開していた香港のGoBee(ゴービー・バイク)は、半年もたたない2018年2月にパリ市を含むフランス全土からの撤退を発表した。理由は「未成年者らによる自転車の窃盗や破壊行為が相次いだため」。運営を継続している事業者も、今後は返却時に盗難防止ワイヤーによる留置を必須にするなど、何らかの対策が求められるだろう。

 こうした問題に直面しつつも、パリ市は乗り捨て型そのものは否定せず、新たな交通サービスを積極的に取り込む姿勢を崩していない。直近では2018年6月、電動スクーターシェア「Lime」がパリ市にお目見えした。早速使いこなしている市民の姿があちこちで見られた。

2018年6月にパリ市でサービスを始めたばかりの電動スクーターシェア「Lime」。米国のスタートアップ企業が提供する乗り捨て型サービスである
2018年6月にパリ市でサービスを始めたばかりの電動スクーターシェア「Lime」。米国のスタートアップ企業が提供する乗り捨て型サービスである
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QRコードをアプリで読み取って利用する
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