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 マツダとミズノが共同開発した運転用シューズが注目を集めている(図1)。伸縮する素材を足首の周りに装着して、ペダルを踏み替えやすくしたことが特徴だ。長時間の運転でも足が疲れにくくなるという。自動車メーカーと総合スポーツメーカーという全く異なる業種の2社。クルマとシューズの意外な共通点が2社を近づけた。

図1 マツダとミズノが共同開発した運転用シューズ
図1 マツダとミズノが共同開発した運転用シューズ
質量は27.0cm、片方で約270gである。(撮影:日経クロステック)
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 「クルマもシューズも、地面に接地して力を伝えることで進むもの」――。

 運転用シューズの開発を担当した、マツダ車両開発本部操安性能開発部上席エンジニアの梅津大輔氏は、クルマとシューズの共通性をこう語る。ミズノ側で担当したグローバル研究開発部次長の佐藤夏樹氏も「製品の上に人が乗って移動するという点で同じだ」と同調する。

 もちろん製品の大きさや複雑さ、価格帯などは全く異なる。それでも技術者同士の間で飛び出す言葉がかなり似ていたという。例えば「フィット感」や「グリップ感」「剛性感」などだ。

 マツダの梅津氏が、特にクルマとシューズで近いと感じたのが「グリップ感」だったという。タイヤや靴底で接地したときの感覚のことだ。「意のまま」に製品を扱えることを重視する2社にとって、クルマとシューズは全く異なる商品ではあるものの、「グリップ感」はともに商品性を左右する重要な指標だった。

 マツダとミズノの間で技術者の交流が始まったのは2015年のことだ。当時は炭素繊維などの素材技術について情報交換するのが目的だった。それが互いに話すうちに、共通の言葉が意外なほど多いことに気づく。そこから打ち解けて、今回の共同開発に結びつく。

 部品構成にも近い機能がある。クルマではタイヤにつながるサスペンションが路面から加わる力を抑制し、車体の振動を小さくする。シューズの場合はミッドソールが接地面から足に伝わる衝撃を抑制する。