マツダが、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の自社開発に挑む。エンジンに強いマツダだが、カーボンニュートラル(炭素中立)の大潮流への備えとして適切な方針である。一方でトヨタ自動車のような「全方位」に思えるのが気になる。身の丈を超えていないか。心配は尽きない。
マツダは最近、2030年のEV生産比率の目標を従来の5%から25%へと大幅に引き上げると発表した。併せて、EV専用プラットフォームの自社開発に着手する。各国が脱炭素に向けて規制を強化し、EVへの補助金を増やす中、欧米中を中心にEV比率が大きく高まると見込む。
ただEV開発で悩ましいのが、マツダに限らないが、車両を差異化しにくくなる上に、収益性が下がることである。
今や世界中の自動車メーカーがEV専用プラットフォームを開発しているが、どれも似通った印象だ。主駆動輪こそ前と後ろで2極化しそうだが、ホイールベースを長くして床下に電池を敷き詰め、重心高を下げつつ室内空間を広くするのは各社でほとんど同じだ。
しかも大半の自動車メーカーが電池やモーターなどの主要部品を他社から調達することになりそうだから、その乗り味も似たものになりがち。マツダがどれほどEV専用プラットフォームの差異化に腐心したところで、エンジン車ほど簡単にはいかないはずだ。