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 これまでにありそうで実はなかったMCU(Micro Control Unit:マイコン)「Sitara AM2x」を米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ:TI)が2021年7月12日(米国時間)に発表した ニュースリリース 。高速なCPU(Central Processing Unit)コアを集積し、主にFA(Factory Automation)機器/装置など産業分野におけるリアルタイム(実時間)処理に向ける。

今回の新製品の特徴
今回の新製品の特徴
(出所:Texas Instruments)
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 日本の報道機関に向けたオンライン発表会で、TIのMike Pienovi氏(General Manager, Sitara MCU)は、新製品を既存のMCUとMPUの間を埋める新種のMCUと位置付けた。同氏によれば、既存のMCUは動作周波数が数百MHz程度のCPUコア(例えば、「Arm Cortex-M」)を備え、組み込みOSなどが稼働する。一方、MPUは1GHzを超える動作周波数を超えるCPUコア(例えば、「Arm Cortex-A」)を備え、LinuxなどのリッチOSが稼働するという。それに対して、今回の新製品は、MPUに迫る高速なCPUコアを集積し、リアルタイムOSやOSなし(ベアメタル)での稼働を想定し、リアルタイム処理に特化する。

Mike Pienovi氏
Mike Pienovi氏
(出所:オンライン発表会でキャプチャー)
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 「今回の新製品であるSitara AM2xは、MCUの設計しやすさとMPUの高性能処理を両立させた」(同氏)。集積する回路ブロックは、既存のMCUとMPUからいいとこ取りをしたという。集積したCPUコアは800MHz動作の「Arm Cortex-R5F」である。最大4個のArm Cortex-R5Fを持つ。さらに、最大2Mバイトと大容量のSRAMや、TSN(Time Sensitive Networking)対応の通信処理アクセラレーター(専用回路)などを集積している。

既存MCUとMPUのいいとこ取り
既存MCUとMPUのいいとこ取り
(出所:Texas Instruments)
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 新製品が備えるCPUコアは、英Arm(アーム)がリアルタイム処理向けに設計した「Cortex-R」の1つである。スマートフォンのSoC(System on a Chip)やMPUに向けたCortex-Aや、MCUや組み込み用途に向けたCortex-Mに比べると、Cortex-Rは裏方的な用途が多く露出機会が少ない。Cortex-RはSSD(Solid State Drive)などのストレージ機器の制御用IC/SoCや、車載向けMCUで使われている。