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 新型コロナウイルス禍で非対面による顧客接点の強化が重要になるなか、金融機関のリモート営業で意外なサービスが導入数を増やしている。Web会議ツールの認知度では「Zoom」や「Teams」が代表的だが、リモート営業で多くの金融機関に選ばれているのがベルフェイスの「bellface」だ。みずほ銀行、SMBC信託銀行、野村証券などが導入済みだ。

 調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)によると、金融業におけるオンライン商談システム市場のベンダー別シェアで、ベルフェイスは2020年度に66.2%と首位だった。ITRの調査では2021年度の金融業におけるベルフェイスの売上高予測は4億2400万円と、2020年度の1億3200万円から3倍以上増える見込みだ。

 ベルフェイスによると「ここ1年で金融機関の導入がかなり増えた」という。銀行業ではコロナ禍を機に、窓口まで足を運ぶ顧客数が減少傾向にある。保険業や証券業でも、強みだった対面での営業販売を生かしづらくなっている。打開策としてリモート営業を取り入れる金融機関が増えている。

ITリテラシーが高くない顧客に配慮

 bellfaceの特徴は、アプリなどをインストールする必要がない点だ。「顧客にとって利用のハードルの低さが決め手になった」。こう語るのはふくおかフィナンシャルグループ傘下のFFG証券で、経営企画部部長を務める菊竹慶介氏だ。FFG証券はコロナ禍でのBCP(事業継続計画)対策をきっかけに、bellfaceを導入。対面と非対面による営業のハイブリッド化に踏み切った。2022年4月には全ての営業担当者約140人が利用するまでになっている。

 FFG証券はbellfaceの導入により、営業担当者の顧客に対する接触回数が1日当たり平均6~7回増えた。初めはBCP対策で導入したが、現在は営業担当者の生産性向上に生かす。FFG証券の田代信行社長は、「拠点の統廃合により、営業担当者1人当たりがカバーする顧客数が増えている。デジタルツールを使って生産性を高めたり、働きやすい環境を整えたりすることは必要不可欠」と訴える。

 FFG証券の事例で興味深いのは、ツールを導入しただけにとどまらず、業務のデジタル変革につなげている点だ。FFG証券はbellfaceの活用に合わせて、それまで紙でやり取りしていた投信の契約に必要な目論見書の事前交付を電子化した。