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 「久保田君、本当に実在してたんだ」

 記者が日経クロステックに配属されてから初出社の日、K編集長からの第一声だった。2020年6月、日経BPに新卒入社してから実に2カ月がたっていた。

 現在、記者の仕事は基本的にリモートワークだ。他の社員とは米Microsoft(マイクロソフト)のチャットツール「Microsoft Teams」や米Zoom Video Communications(Zoomビデオコミュニケーションズ)の「Zoom」で話すことはあっても、オフラインで会う機会はほとんどない。K編集長とも画面越しには毎週顔を合わせていても、「実物」を披露するのは初めてだったので冗談交じりにこんなことを言われたのだった。

コロナ禍でも仕事はスムーズ

 「東京の満員電車に耐えられるだろうか」。昨年まで地方の大学生だった記者の一番の気がかりは、新型コロナウイルスの感染拡大で先延ばしとなった。取材は電話かZoomで、記事の執筆はWordで、社内連絡はTeamsで――、となると仕事は自宅で完結する。急に決まったリモートワークは意外にも快適だ。

 出社の経験なしにリモートワークで仕事がスタートした「コロナ世代」であるためかもしれない。編集長や先輩記者には「実はAI(人工知能)じゃないか」と疑われつつも、この生活に柔軟に対応できている。

 もちろん、全てが快適かと言えばそうでもない。一番のネックと感じているのが会社の同期や先輩社員との交流だ。配属先の部署ではオンライン歓迎会を開いていただき、困難な状況下でありながら交流の場に参加する機会には事欠かない(ありがとうございます)。とはいえ、さりげない雑談はリモートワークでは難しい。普段の交流が少なくなれば組織に所属しているという実感が薄れがちになる。

 入社から2カ月たった出社初日に記者は「会社員」としての自覚を初めて感じた。本来であれば4月ごろに体感していたはずだが、それまでは投稿した記事を読者に読んでもらえる事実のみがよりどころだった。コロナ世代の新入社員からすると「会社、本当に実在してたんだ」である。会社で先輩社員とあいさつし雑談をすることで、初めてこうした実感を得られた。