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 半導体やディスプレーの製造に必要な、いわゆるデジタル素材の対韓輸出管理が、日本と韓国で連日話題になっている。日本政府の措置を契機に、韓国ではこうしたデジタル素材を国産化しようとする気運が盛り上がっているという。

 実は、韓国がデジタル素材を国産化しようとする動きは、今になって始まったことではない。今から約15年前。筆者が液晶パネル産業を取材していた当時も、韓国を取材で訪れるとよく耳にした話である。

 この頃、韓国は成長著しい半導体メモリーや液晶パネルの市場で巨大なシェアを獲得し、輸出額を大きく伸ばしていた。液晶では、ちょうど大型テレビ用のパネル生産に本格的に乗り出し、先行した日本メーカーを生産規模で圧倒する態勢を築きつつあった時期である。

 半導体・液晶産業の成長がけん引する形で、韓国は輸出をどんどん増やしていた。しかし、その一方で、対日貿易赤字も増えていたのである。韓国の産業通商資源部によると、2004年の韓国の対日貿易赤字は237億1800万米ドルと過去最高を更新した。半導体やディスプレーの製造に必要な材料や製造装置の多くを、日本からの輸入に依存していたからである。

 この対日貿易赤字は、当時から、韓国の産業界で問題視されていた。そこで、貿易収支を改善しようと、材料や製造装置の国産化を促す取り組みが15年前も盛んになった。韓国産の材料や装置を積極的に採用しようとする取り組みや、共同開発プロジェクトによって韓国のパネルメーカーが現地の製造装置メーカーの技術力を高めようとする取り組みについて、取材でよく耳にした。

対日貿易赤字はどうなった?

 それから15年が経って、韓国の対日貿易赤字はどうなったか。実は現在でも、状況はほとんど変わっていない。2018年の対日貿易収支は240億7500万米ドルの赤字である。2014~2017年の推移を見ても、200億米ドル台の赤字で推移している()。

日本と韓国の貿易収支
日本と韓国の貿易収支
単位は100万米ドル。日本から見ると200億米ドル台の貿易黒字、韓国から見ると同規模の貿易赤字が続いている。(出所:2004年の収支は韓国産業通商資源部。2014年以降のデータは韓国貿易商会)
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