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 実は1カ月ほど、もやもやとした気持ちでいる。

 2020年に日経BPの新卒記者のチューター(教育係)になってから、1年がたった。記者は、対面取材や出張が大好きな「現場世代」の1人だ。1時間の取材でも、飛行機や新幹線に乗って先方に会いに行くのが当たり前だとずっと思ってきた。

 ところが、新型コロナウイルス感染症のまん延で状況は一変し、リモートワークで新人の教育係をすることになった。相手は「リモートネーティブ世代」の久保田記者だ。チューター期間の半年が穏やかに終わり、記事も精力的に書いている様子だった。そんな彼が、少し体調を崩したらしい。

 全然気付かなかった。チューター期間が終わった後も、「Microsoft Teams」のチャットなどで時々コミュニケーションをとっていた。休みを取る少し前には、感染対策を万全にしつつ軽く食事に一緒に行って近況を聞いていた。チャットの文字は元気そうで、顔色もよさそうに見えた。

 さすがリモートネーティブ世代――。そんなことを勝手に思いながら、現場世代の筆者はリモートワークの難しさや限界を感じることが増えていた。本業の執筆活動というより、各方面から無邪気に降ってくる仕事への対応や、仕事とプライベートの切り分けなどだ。

 実は今年も、4月から新卒・本多記者のチューターを担当している。彼は日経BPのインターン経験者。2週間ほど一緒に過ごしていたので、「初めまして。出身は?」といった探り合いは要らなかった。久保田記者と初めて対面するまでに2カ月以上かかった去年とは大きな違いだ。

 2度目のチューターをやり始めてすぐに実感したのが、「リモートネーティブ世代も人それぞれ」ということ。当たり前のことだ。在宅派の久保田記者とは対照的に、本多記者は出社派。「会社の方が集中できる」と。彼に合わせて筆者も出社の頻度を増やしているが、体力低下で通勤がつらい。それでも、記事の書き方から雑談まで、コミュニケーションのしやすさは圧倒的に対面が楽だ。Teamsのビデオ会議はあまりしないので、猫が乱入してくるリスクも少ない。

ビデオ会議への乱入を狙う方々
ビデオ会議への乱入を狙う方々
(撮影:筆者)
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 筆者は20年5月に「リモートワークで新人を育てられるのか?」という「記者の眼」を書いた。当時新人だった久保田記者へのインタビューで、雑談をはじめとする意思疎通の難しさや孤独感の解消などの困りごとを聞いた。

 去年の経験を踏まえて、本多記者とどう向き合っていこうか。対面とリモートのバランスやコミュニケーション方法などなど……。あれこれ悩んでいても答えが出ないので、復活した久保田記者に再び単独インタビューを依頼することにした。オンライン取材だった前回とは違い、今回は対面で話をした。

 最初は彼の近況や不満などを聞いていたが、気付けば筆者からの相談を聞いてもらう場になっていた。これが成長というやつか。