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 新型コロナウイルス(新型コロナ)の陽性確認者(以下、感染者)数が高止まりしている。筆者が住む東京都では、300人超えの日が続く。愛知県や大阪府、福岡県、沖縄県などでも感染者は増えている。愛知県は2020年8月5日に、県独自の緊急事態宣言を発出した。

 それでも日本政府は、全国の都道府県を対象にした緊急事態宣言を解除してから、「経済活動を維持しながら感染者の拡大を抑える」という方針を変えていない。ただ、経済活動を維持しようとすると人の移動が活発になり、感染リスクが高まる。感染者の拡大を抑えるために人の移動を抑制すると、経済活動が停滞する。

 このように、経済活動の維持と感染者拡大の抑制を両立するのは難しい。それは、全国の都道府県を対象にした緊急事態宣言の解除後に、感染者が増え続けている事実からも分かる。どのようにすれば、経済活動を維持しながら感染者の拡大を抑えられるのか。

 アーサー・ディ・リトル・ジャパン(ADLジャパン)パートナーの祖父江謙介氏は、経済活動の維持と感染者拡大の抑制を両立するため、「Withコロナの世界は、ゲート型社会と監視型社会に分かれる。日本はゲート型社会になるだろう」と予測する。

 新型コロナの感染が世界的に拡大した当初、一部の国・地域では感染拡大を抑えるためにロックダウン(都市封鎖)を行った。その結果、人の動きが止まり、経済に甚大な影響を与えた。

 その後、感染拡大の防止に一定の効果が得られて都市封鎖を解除した国・地域や、最初から都市封鎖を行わなかった国・地域では、新型コロナの初期的な対策として、「密」な状態を避けながら経済活動を行う「ソーシャルディスタンス」という行動様式が導入された。それでも、経済への影響は残っている(図1)。

Withコロナの世界
図1 Withコロナの世界
Withコロナの世界は、ゲート型社会と監視型社会に分かれる。(出所:ADLジャパン)
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