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 東京五輪2020のサッカー日本代表で軸となった2人の守備的ミッドフィールダー、遠藤航選手と田中碧選手が2021年夏からの新シーズンを戦うドイツサッカーリーグ、「ブンデスリーガ」。同じく五輪代表だった堂安律選手も2020-2021年にこのリーグで戦った。ブンデスリーガは先駆的にITを活用するサッカーリーグとして知られる。2020年1月からは米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)と提携して、新データ分析基盤を構築し機能強化を続けている。

 2021年8月10日、ブンデスリーガとAWSは共同で日本のメディア向けにオンライン説明会を開き、新基盤の一端を紹介した。説明会に出席したブンデスリーガ1部のクラブ、バイヤー・レバークーゼンの関係者は「チーム内にデータ分析の専門部署を設けており、シーズン中はそのスタッフがデータを用意して監督と話し合いゲームプランを立てる」と話す。ブンデスリーガの各クラブで活用が進む新基盤がどのようなものか紹介しよう。

どれだけ難しいシュートだったかが分かる「xGoals」

 新基盤にはブンデスリーガの1万を超える試合のデータを動画と合わせて蓄積しているという。ここでいうデータとは、ピッチ上の選手の位置情報、シュートやファウルといったイベント情報などだ。試合ごとに位置情報は360万件、イベント情報は1600件に上る。これらのデータを人工知能(AI)などを使って分析し、様々なインサイト(洞察)を得る。

 新基盤によって分析する選手の指標の1つが「xGoals(Expected Goals)」だ。これは選手が放った個々のシュートが成功する確率である。ブンデスリーガの過去の類似シチュエーションにおけるシュートのデータを基に開発した機械学習モデルが、0~100%で算出する。パーセンテージが低いほど、決めるのが難しいシュートだったことを意味する。

シュートの分析例
シュートの分析例
(出所:ドイチェフットボールリーガ、以下同)
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 選手ごとに、決めたシュートのxGoalsの数値を合算した上でゴール数から差し引けば、決めたシュートの難しさの累積を表す。2020-2021シーズンにこの指標がトップだったのは、優勝したFCバイエルン・ミュンヘンのレバンドフスキー選手だ。数値は12.3ポイントで、2位の選手に2倍近くの差を付けた。チーム力が高かったので得点機会に恵まれた側面はあるが、難しいシュートも決めていたことが分かる。

ブンデスリーガ2020-2021シーズンにおけるゴール数からxGoalsの合算値を差し引いた値のランキング
ブンデスリーガ2020-2021シーズンにおけるゴール数からxGoalsの合算値を差し引いた値のランキング
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