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 20代から30代までの若年層を中心とする投資初心者を対象に、株式売買をはじめとする証券サービスを提供する「スマートフォン証券」。この分野に大手・準大手の証券会社が相次ぎ参入している。2020年7月には大和証券グループ本社の子会社CONNECT(コネクト)がサービスの提供を開始。1株単位で国内株を購入できるほか、ロイヤリティマーケティングの「Ponta」などポイントを利用した株式運用を可能にしている。

 野村ホールディングスは2019年8月から、LINEの金融子会社LINE Financialと合弁でLINE証券を展開。SBI証券は同年4月に「Tポイント」を擁するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループ会社と合弁でSBIネオモバイル証券を設立している。東海東京フィナンシャル・ホールディングスも2020年中に、子会社を通じてスマートフォン証券を開始する予定だ。

 各社がスマートフォン証券に臨む主要な動機の1つが「2025年問題」だ。IT分野でおなじみの2025年問題とは異なり、いわゆる団塊の世代が2025年ごろに健康寿命を迎え、消費の中心から退いていくことを指す。特に窓口販売主体の証券会社にとって、この世代の顧客はボリュームゾーン。スマートフォン証券によって投資に対するハードルを下げ、問題が本格化する前に若年層を取り込む狙いがある。

 「One Tap BUY(ワンタップバイ)」は、こうしたスマートフォン証券の先駆けといえる。サービス開始は2016年。スマートフォンアプリを通じて1000円からの株式取引を可能にすることで、「投資はハードルが高い」というイメージの払拭を狙った。2020年3月時点の口座数は約13万7000で、1年間で約2万口座を新たに獲得したという。ちなみに「スマホ証券」は同社の登録商標である。

「One Tap BUY(ワンタップバイ)」の画面例
「One Tap BUY(ワンタップバイ)」の画面例
(画像提供:One Tap BUY)
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 一時期はテレビコマーシャルを打っていたこともあり、One Tap BUYというブランドはそれなりに認知されている。にもかかわらず、同社はこのブランドを捨て去る決定を下した。新たな名称は「PayPay証券」。2020年7月29日に開催した取締役会で商号変更を決定、秋以降に正式に社名とサービス名を変更する。

 One Tap BUYはソフトバンクの子会社であり(3月時点の出資比率は61.0%)、ソフトバンクグループやヤフーなどが出資している「PayPay」との関わりを深めることに違和感はない。4月には、PayPayのミニアプリ「ボーナス運用」の提供を開始。PayPay残高に付与されたPayPayボーナスを活用して、疑似的な資産運用を体験できるようにした。90日間で100万人超の利用者を獲得している。

 今回、同社が名実ともに「PayPay化」すると、誰がどのように得をするのだろうか。PayPay、One Tap BUY、利用者の視点で見ていこう。