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 2020年8月のとある土曜日、小学生の子供たちが夢中でタブレット端末を操作していた。後ろからのぞき込むと3Dのグラフィックで様々なキャラクターが動いている。一見するとゲームに見えるがここは東京有明の学習塾、子供たちが触っているのはプログラミング教材だ。

 プログラミング教材名は「Playgram」。人工知能(AI)の開発を手掛けるPreferred Networks(PFN)が約1年をかけて独自開発し、2020年7月6日に発表した。ビジュアルプログラミングからタイピング、プログラミングの基礎、Pythonによるテキストコーディングまで段階的に学べるのが特徴という。

PFNが開発した小学生向けプログラミング教材「Playgram」
PFNが開発した小学生向けプログラミング教材「Playgram」
出所:PFN
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 この教材を使ったプログラミング教室は、個別指導学習塾を展開するやる気スイッチグループが開く。指導法などに共感したPFN側が声をかけたという。同グループは2020年8月1日にプログラミング教室「やる気スイッチ HALLO powered by Playgram」を有明ガーデンで開校、40人が学ぶ。教室は順次全国に開校予定だ。

 教室は週1回80分で、最大5人ずつのグループレッスン形式。主な対象は小学生だが、取材で訪れたクラスでは幼稚園児や中学生も小学生に交じって学んでいた。

クラスでは5人の生徒がそれぞれ自分のペースで進め、先生がサポート
クラスでは5人の生徒がそれぞれ自分のペースで進め、先生がサポート
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4歳の子供もトライアルとして参加中
4歳の子供もトライアルとして参加中
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撮影:日経クロステック

他の塾の宿題が手につかない

  Playgram では、ストーリーに沿いながらまず日本語のブロックでプログラミングする。慣れるとPythonで書かれたブロックを使い始め、最終的には完全なテキストコーディングに移る。ビジュアルプログラミングで完結する教材も多いなか、テキストコーディングまでステップアップできるのが大きな特徴という。

キャラクターを動かす指示をプログラミングで与える
キャラクターを動かす指示をプログラミングで与える
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Pythonが書かれたブロックを並び替える画面例
Pythonが書かれたブロックを並び替える画面例
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出所:PFN

 効率的なプログラミングを促す工夫を組み込んでいるのも特徴だ。Playgramではキャラクターを動かす課題が終わるたびに、使ったブロック(指示)の数や間違えた回数によって得点とランクが発表される。子供は得点を競いながら自然と効率的なコーディングを身に付けられる。

少ないブロックで早く、ミスなく課題をクリアすると得点が上がる仕組み
少ないブロックで早く、ミスなく課題をクリアすると得点が上がる仕組み
出所:PFN
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 やる気スイッチグループは生徒にタブレット端末を配布し、毎日15分の自宅学習を推奨している。教室では先生が自宅学習の定着度合いを確認する他、独自のメソッドに基づき生徒の「やる気」を引き出す。「もうできちゃったの、早い!」「中学生レベルだ!」――先生のこんな言葉に乗せられ、自慢げにタブレット端末を見せる生徒の姿が印象的だった。

 「放っておくと家でずっとPlaygramをやっている。他の塾の宿題もやってもらいたいんだけど……」。年長の子供を通わせる母親は苦笑する。親の心子知らず、子供の反応は上々なようだ。