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 また問題の先送りか――。国土交通省の有識者会議が2021年8月4日にまとめた高速道路の在り方に関する中間答申を読んだ印象だ。有料期間の再延長を求めるだけで、「償還主義」の問題には切り込んでいない。

首都高速1号羽田線の更新工事の様子。2019年9月撮影(写真:日経コンストラクション)
首都高速1号羽田線の更新工事の様子。2019年9月撮影(写真:日経コンストラクション)
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 償還主義とは、料金収入で建設費を返済し、それが終わったら無料開放するという考え方だ。道路は原則無料との理念に基づく。道路関係4公団を05年に民営化した当時、約40兆円に上っていた債務を50年までに返済する計画を立てた。

 しかし、当時の計画では民営化会社の収支に高速道路の更新費用を見込んでいなかった。その後、更新費用を賄うために、有料期間を65年までと15年延長した。

 そのときに想定した更新の対象は、主に1960~70年代に建設された構造物だけだ。しかし、いずれは80年代以降に造られた構造物も更新時期を迎える。構造物が永久に使えるわけではない以上、更新に終わりはない。

 以前、高速道路の料金問題について取材した際、国交省や高速道路会社の担当者にこの問いを投げかけたことがある。しかし、言葉を濁すばかりで明確な答えは返ってこなかった。有料期間の延長は単なる一時しのぎだと分かっているのに、誰も根本的な解決策を示さない。