新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見通せない状況下で、展示会やイベントのオンラインへの移行が急速に進んでいる。例えば、2020年12月に予定されていた国内最大の工作機械の展示会「第30回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2020)」は、4月に一旦中止が発表されたものの、11月に「JIMTOF2020 Online」として開催するとの発表が8月にあった*1。
JIMTOF2020 Onlineの機能や出展方法の詳細については本稿執筆時点で明らかになっていない。このため、工作機械メーカーの出展形態や内容の検討もこれからのようだ。工作機械大手各社も「詳細が分からないので何とも言えない」(DMG森精機)、「詳細な案内がきてから判断する。内容次第では別途独自のオンライン展示会を準備する可能性もある」(オークマ)と戸惑い気味だ。いずれにせよ、オンラインでいかに自社技術を効果的に見せ、理解してもらう仕組みを整えておく必要性は高まりそうだ。
方向性の1つがショールームやプライベートショーのバーチャル化だろう。例えばオムロンは、顧客が同社のファクトリーオートメーション(FA)技術を体験できるショールーム「オートメーションセンタ」(ATC)をバーチャル化し、2020年8月28日からオンライン見学会を始めた。ATCはオムロンのFA関連製品の実機を集め、最新技術を体験できる顧客企業向け施設。国内外37カ所に設置され、デモンストレーション機を見学したり、PoC(概念実証)に取り組めたりする他、ユーザーが機器を導入する際の技術トレーニング機能も備える。
今回、バーチャル化したのはオムロンATCの旗艦拠点「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」(東京・品川)。実際の設備を全天周カメラで撮影した映像を基に、設備や展示機を仮想空間に配置してATC-TOKYOを再現した。PCを使うとウオークスルーで展示内容を見て回れる。
ロボットや自動化システムなどを使ったアプリケーションが設置してあるデモ機ルームには、現実のATCと同様のデモンストレーションが並んでいる、例えば、協働ロボットがワークを自動認識してピッキングするデモでは、動作の様子を撮影した動画が見られる。デモ機上方のディスプレー上に流れているサイネージもバーチャルのATCで確認できる。この他、入り口すぐのプレゼンテーションルームでは実際にATC-TOKYOと同じコンセプト紹介動画を流すなどしている。「時間や場所の制約なしに最先端のFA技術を体感できる」(同社)。