コロナ禍で製造業のさまざまな業務がリモート化される中、機械加工の発注を支援するサービスが増えている。部品の3DデータをWeb上にアップロードすると見積もりを提示し、そのまま加工を請け負ってくれたり、加工工場を探してくれたりするサービスだ。
サービス名・企業名 | 特徴 |
---|---|
meviy | 3Dデータによる即時見積もりと加工受注 |
CADDi | 装置の部品製作と組み立てを一括受注 |
Kabuku Connect | 3Dデータ・2D図面による即時見積もりと加工受注 |
プロトラブズ | 3Dデータから数時間で見積もり、射出成形・切削部品を製造 |
ファクトリーエージェント | 部品の発注者と受注者を仲介 |
NTTコミュニケーションズなど | 類似部品検索などによる調達業務効率化、2021年内に開始 |
NTTドコモ | 発注企業に受注企業の複数候補を自動提示、2022年に開始 |
ゼロフォー | 板金部品を即時見積もり、3D-CADのアドインも提供 |
ただし、各サービスの内容は多岐にわたり、対応する部品や加工の種類、支援する業務プロセス、提供形態は異なる。例えば、ミスミグループ本社(ミスミ)が2016年に開始した「meviy」がWebブラウザーから利用するサービスであるのに対し、IT企業のゼロフォー(神奈川県厚木市)の板金見積もりソフトウエア「iQ3-SW」は、3D-CAD「SOLIDWORKS」のアドインとして売り出している。
設計しながら価格が分かる
3D-CADのアドインとして提供することで実現しているiQ3-SWの機能の中で筆者が便利だと感じたのは、設計者が3D-CADで部品形状をモデリングしながら、同じ画面上で見込み価格(加工コスト)を確認できる点だ。3DデータをWeb上にアップロードして見積もりするという作業をしなくて済むので、部品形状を変更しながら価格を抑える方法を検討しやすい。
見積もりを取りつつ、加工業者とメールなどをやりとりしながら設計を改善する方法と比べると、効率は格段に上がる。製作個数に応じた価格変動も予測してくれるので、試作と量産でのコスト比較もやりやすそうだ。
ゼロフォー代表取締役の石田浩太郎氏は、「調達部門が使ってもメリットがある」と説明する。例えば、月産1~2個しか生産しない製品だと、見積もりを受けてくれる加工業者が少なく、適正な価格を把握しにくい場合がある。そうした場合に参考価格を算出して、加工業者が出してきた見積もりが割高かどうかを見極めるツールとしても使えるというのだ。