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 先日、久々に親戚の子どもに会った。おとなしくYouTubeでお気に入りの昆虫動画を眺めていたが、進捗状況のバーを確認しながら、視聴中の動画が終わる直前に関連動画から次に見たいものを選んで再生するということを繰り返していた。動画に広告が表示されるとスキップを押して飛ばし、視聴を続ける。広告のスキップは誰も教えておらず、親がやっているのを見て覚えたらしい。まだ文字も読めない2歳児のあまりの使いこなしぶりに、これがデジタルネーティブなのかと驚いてしまった。

 EdTechの取材で小学校の先生たちから聞いた「子どもは大人顔負けの使い方をする」という言葉を思い出した。子どもたちはタブレット端末やYouTubeの使い方も、マニュアルを見たり誰かに教わったりするのではなく、自然に肌で覚えていく。特定の目的と用途を絞って使い方を習得する大人たちを超えていくのは、考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。

 デジタルツールを使いこなす児童たちの能力が極めて高いと感じた例を紹介しよう。

 愛知県の春日井市立藤山台小学校で6年生のクラスを担任する久川慶貴教諭から「修学旅行のしおり作りを子どもたちに手伝ってもらっている」と聞いた。従来は教師が行程を考え、立ち寄る先の情報を収集し、注意事項などと併せて書いたものを紙で配布していた。

 今ではしおりは紙ではなくデジタル版だ。子どもたちは班分けが終わるとすぐに共有のワークシートにそれぞれの班のメンバーを入力し、しおり作りでは行き先の情報を自主的に調べる。しおりをデジタル化したことで、作成にかかる時間を半分以下に減らせたという。単純に教室にツールを導入するだけではなく、子どもたちが使いこなす。その結果、教師の仕事を助けることにもつながっている。

 児童が作成したプレゼンテーション資料の例。コメントのやり取り(資料右側)もオンラインで行っている
児童が作成したプレゼンテーション資料の例。コメントのやり取り(資料右側)もオンラインで行っている
(出所:春日井市立藤山台小学校の久川慶貴教諭)
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 神奈川県の相模原市立谷口台小学校では、児童の発案で修学旅行の思い出を動画にまとめた。5年生を担任する佐藤司明教諭によると、一部の動画編集アプリは教師が紹介したが、編集などは全て子どもたちが自主的に行っているという。「機能が足りなければ自分で新しいツールを見つけてくる。使い方を教え合い、ほとんどの児童が動画を作って文字や音楽をつけるといった編集ができる」(佐藤教諭)。

 企業では「動画を作成するのが得意な人」がおり、動画編集は割と専門的なスキルとして扱われているケースが多いのではないだろうか。しかし、小学校のクラスでは既に汎用的なスキルとして浸透している。