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 菅義偉首相はマイナンバーカードの普及を加速する考えを打ち出した。マイナンバーカードの普及率は2020年10月1日現在で20.5%にとどまる。

 菅首相がマイナンバーカード普及を打ち出してからSNSには懐疑的な見方や反対意見が広がった。いわく「個人情報が心配」「マイナンバーカードが普及しないのは用途がないから」「多額の税金を注ぎ込んでいる」「政府に対する信頼がない」……。マイナンバーカードが浸透してこなかった理由は様々ありそうだ。しかし、中には明らかにマイナンバー制度の仕組みを知らずに誤解した書き込みも目立つ。

 実はマイナンバーカードや個人向けサイト「マイナポータル」は2020年10月以降、続々と機能の拡充が始まる。政府はマイナンバーカードやマイナポータルを行政だけでなく企業も含めた社会全体のデジタルインフラにしようとしている。この記事では、今後マイナンバーカードやマイナポータルの用途がどう広がるかを紹介したい。多額の税金に見合うものかを判断するにも、今後拡大が予定される用途を知っておく必要がある。

マイナポータルは自分の情報の取り扱い記録

 政府が普及を目指しているマイナンバーカードは「顔写真付き身分証」や「デジタルの実印や身分証」である。マイナンバーカードという名称であるにもかかわらず、マイナンバーを使わない用途もある。これがマイナンバーカードの分かりにくさや普及が進まない理由にもなっていた。

 マイナンバー制度に対しては「政府が自分の情報を勝手に管理しているのではないか」と疑念を抱く人も多い。マイナンバー制度で自分の個人情報がどう扱われているかを把握できる仕組みが、マイナポータルである。国の行政機関や自治体などがマイナンバーを使って自分の情報をどう扱ったかという記録をオンラインで確認できる。

 マイナポータルを利用するにはマイナンバーカードなどが必要だ。マイナンバーカードを持っていればスマートフォンやパソコンを使ってアクセスして自分の情報を確認できる。一人ひとりがマイナポータルで自分の情報を確認できるということは、行政機関などがマイナポータルを通じて一人ひとりの状況に応じて様々なサービスを提供できるということである。

2020年分の所得から年末調整が省力化

 マイナポータルは2020年10月以降に続々と機能を拡充する。特に注目されそうなのが、年末調整や確定申告の手続きで必要事項の入力が省力化できることだ。必要な書類の一括取得やデータの自動入力が可能になる。国税庁は2020年10月1日から年末調整控除申告書作成用ソフトウエア「年調ソフト」の無償提供を始めた。スマートフォン版も提供する。

マイナポータルを活用した年末調整及び所得税確定申告の簡便化のイメージ
マイナポータルを活用した年末調整及び所得税確定申告の簡便化のイメージ
(出所:国税庁)
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 これまでの年末調整は、企業の従業員が契約している保険会社からはがきで送られてくる生命保険料や地震保険料の控除証明書などを保管しておいて、勤務先に提出していた。勤務先の企業は、従業員が提出した控除証明書をチェックして書類として保管して税額を再計算している。