水泳、ピアノ、英会話、体操、学習塾、サッカー、武道、音楽。ミキハウス子育て総研が2017年10月に実施した、子供の習い事ランキングの上位に入ったものである。ピアノのように昔から変わらず人気上位の習い事もあれば、英会話のように時代の変化を映して人気が高まっている習い事もある。
ちなみに記者は小学生のころ、バイオリンを習っていたが、生来のこらえ性のなさに照れくささも手伝って、2年ほどしか続かなかった。今から思えばもっと身を入れて習っておけばよかったが、まあ何というか典型的な後の祭りである。
記者は最近、近い将来にランキングの新顔になるかもしれない、デジタル時代ならではの「習い事」に接する機会を得た。
1つはプログラミングである。2020年にプログラミング教育が小学校の必修科目になることもあり、小学生や未就学の子供を持つ親の間ではプログラミング熱が高まっていると側聞していた。そして去る2018年9月24日、あるイベントに参加して熱気を直に感じた。
そのイベントとは小学生向けのプログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prix(テックキッズグランプリ)」。サイバーエージェントのグループ会社で小学生向けプログラミング教室を運営するCA Tech Kids(シーエーテックキッズ)の主催で、今回初めて開催した。ミクシィや東京急行電鉄、グーグルなどが協賛した。
「将来の夢はプログラマー」、大観衆に堂々とプレゼン
当日は国内外1000件を超える応募作の中から選ばれた12作品の作者が登壇し、それぞれの作品を審査員と観客を前にプレゼンテーションした。プレゼンを披露したのは下は8歳から上は12歳まで、全員が小学生である。
プレゼンを見た記者の感想を述べると、いまどきの小学生をあなどっていたことを白状しなければならない。みなとにかく堂々としたもので、全員が念入りに練習と準備を重ねて本番に臨んだことが伺えた。何より、プログラミングを楽しんでいる様子が生き生きと伝わってきた。
総合優勝した宮城 采生(さい)さんは10歳小学校5年生。開発した作品「オシマル」は、動物をモチーフにしたスマートフォン向け押し相撲ゲームだ。プレーヤーは動物ブロックの重さやスピード、エネルギーといった要素を考えながらコンピューターと対戦する。自分のブロックを先に相手の陣地にゴールさせたら勝ちだ。プログラミング言語にはC#、開発環境にはUnityをそれぞれ使った本格的なものだ。
開発作業は試行錯誤の繰り返しだったという。ブロックを操作する処理を開発するため「最初はプレーヤーが画面をタッチした座標をワールド座標に変換する手法を試したがうまくいかなかった」。悩んだ挙げ句、Unityが備えるレイキャストという機能に行きつく。画面内で仮想的な光線(レイ)を飛ばして物体(オブジェクト)に衝突したことを検知する機能だ。今はコンピューターと対戦できるのみだが、「今後は人間同士の対戦モードを追加することを考えている」という。