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 東京・池袋で発生した車両暴走事故の公判が、東京地方裁判所で行われている。2019年4月に発生した同事故では2人が死亡、9人が重軽傷を負った。

 各社の報道によると、20年10月8日の初公判で被告人(旧・通商産業省工業技術院元院長)は、「アクセルペダルを踏み続けたことはない。クルマに何らかの異常が発生したために暴走したと思っている」として容疑を否認した。弁護人も「被告人に過失はない。過失運転致死傷罪は成立しない」と述べ、無罪を主張した。

 これに対して検察側は、「クルマの制御システムに、異常を示す記録はない。アクセルペダルを踏み込んだデータと、ブレーキペダルを踏んでいないことを示すデータがある」と主張した。

 筆者としては、暴走事故の原因がクルマであるかのような弁護側の主張には違和感がある。ただ裁判が進行中であるため、今は予断を持ったコメントを控える。暴走事故の原因が「ペダルの踏み間違いなのか、クルマの異常なのか」については、東京地裁の判決を注視したい。

 裁判の行方と共に筆者が注目しているのは、トヨタ自動車がペダル踏み間違い事故の“撲滅”に力を入れていることである。同社は新たな「急加速抑制システム」を開発し、部分改良して20年7月に発売したハイブリッド車(HEV)「プリウス」とプラグインハイブリッド車(PHEV)「同PHV」に搭載した(図1)。今後、搭載する車種を増やす計画である。

プリウスPHV
図1 新システムを搭載した「プリウスPHV」
(出所:トヨタ自動車)
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 他社を含めて、超音波センサーを使うこれまでの急加速抑制システムは、壁などの障害物がある場合にしか対応できなかった。これに対してトヨタの新システムは超音波センサーを使わず、障害物がない場合でも作動する。

 実際にペダルの踏み間違い事故は、クルマの前方に障害物がない環境でも起こっている。前述した池袋の暴走事故も、見晴らしの良い交差点で発生した。そして事故を起こした車両は、トヨタのプリウスだった。