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 「第3次ロボットブーム」と呼ばれるムーブメントがあった。新型コロナウイルス感染症の流行ですっかり過去のように感じてしまうが、2013~2018年ごろを指す。当時、人との触れ合いや会話を売りにする「コミュニケーションロボット」の新製品が相次いで発売された。

人型ロボット「Pepper(ペッパー)」
人型ロボット「Pepper(ペッパー)」
高さ1.2m、質量29kg。「国内販売は1万台以上、約2500社が導入した」(ソフトバンクロボティクス)。法人向けプラン「Pepper for Biz 3.0」は月額5万5000円(税別)の3年レンタル契約となる。(出所:日経クロステック)
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 ブームを後押ししたのは、同時期に普及したクラウドや人工知能(AI)といったIT系の技術だ。それまでは本体の組み込みコンピューターに限られていたロボットの計算資源が、インターネットの力で拡張されたのである。

 「ロボットの居る日常はすぐそこまで来ている」――。多少なりとも、当時こう感じた人はいるだろう。実をいうと、筆者もその1人だった。

 以前、ロボット市場は急激に成長していくとみられていた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2010年4月に発表した予測によれば、サービス分野のロボット市場は2020年に1兆241億円。このうちコミュニケーションロボットの関連分野は1336億円を占め、2015年の約2.4倍に拡大するという見通しだった

* 新エネルギー・産業技術総合開発機構が2010年4月23日に公表した「ロボットの将来市場予測を公表」による。この予測は、製品・サービスの細かな分類ごとになされた。記事本文中では、「受付・案内」「教育」「アミューズメント」「ホビー」「見守り・コミュニケーション」を合算して「コミュニケーションロボットの関連分野」としている。

2035年までのロボット産業の将来市場予測
2035年までのロボット産業の将来市場予測
新エネルギー・産業技術総合開発機構が2010年4月に発表した。コミュニケーションロボットを含む「サービス分野」をはじめ、どの分野も右肩上がりの成長になると予測された。(出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構)
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 ところが、振り返ってみるとその期待は大き過ぎた。コミュニケーションロボットはまだまだ発展途上で、人々が思い描く理想像とは、ほど遠かったのである。「正確な数字は分からないが、予測通りに推移している製品は少ないというのが正直な印象だ」――。かつて上記の予測を算出したNEDOの担当者は、こう打ち明ける。

 ブームを通じて、一定の市場が生まれたことは確かだ。しかし消費者の興味は一巡し、企業も今では冷静な眼でコミュニケーションロボットを見つめていると思われる。その一方で、消費者のニーズを的確に捉えてヒット商品となったコミュニケーションロボットもあった。

「15万台」が売れたロビ

 例えば、デアゴスティーニ・ジャパン(東京・中央)が2013年2月に発売した「週刊ロビ」。2017年6月に発売した続編「週刊ロビ2」と合わせると、これまでに約15万台のロビが市中に出回ったとみられる。「2足歩行型に限ると、ロビは世界で最も売れたコミュニケーションロボットだ」(同社)。

2足歩行型ロボット「ロビ2」
2足歩行型ロボット「ロビ2」
高さ約34cm、質量約1kg。会話やダンス、写真撮影などを楽しめる。インターネットの接続機能はない。組み立て完成品は19万8000円(税別)。(出所:日経クロステック)
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