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 我々、記者や編集者の仕事にも、Google(グーグル)や Yahoo(ヤフー)などの検索エンジンが欠かせなくなっている。かつては雑誌や資料などで調べていた「設計者」や「建物の竣工時期」などの情報も、これら検索エンジンを使えば大抵のことはすぐ分かる。手間は増えている半面、誌面の情報量がアップしていることを実感している。

 しかし、このサイト検索は意外とくせ者だ。どこまで調べればいいか、なかなか判断がつかない場合が多いからだ。“紙”の時代には「これ以上は分からない」と、すぐあきらめがついたが、検索エンジンを使いこなせばこなすほど、細かいことまで調べられる。裏付けが求められる我々の仕事では、複数の情報に当たることは鉄則であり、詳細まで把握した上で執筆することは記事の厚みを増すことにつながり、悪いことではない。気がつけば数時間たっていることも少なくない。

 これは建築設計やインテリアデザインの世界も同様だ。「隈研吾さんがあのプロジェクトで使っていた壁の仕上げ材が気になるので調べておいて」「クライアントから、木質系の仕上げ材を求められたので、複数を比較できるようにしておいて」。チームリーダーのひと言に、数時間、いや数日も検索に費やすスタッフもいるだろう。

検索サービス【TECTURE(テクチャー)】で、デザイン事例として登録された写真の例。製品が登録されている部位には黄色のピンがタグ付けされている。このサービスとも関連づける形でウェブメディアの【TECTURE MAG(テクチャーマガジン)】も立ち上げた(資料:tecture)
検索サービス【TECTURE(テクチャー)】で、デザイン事例として登録された写真の例。製品が登録されている部位には黄色のピンがタグ付けされている。このサービスとも関連づける形でウェブメディアの【TECTURE MAG(テクチャーマガジン)】も立ち上げた(資料:tecture)
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 こうした状況に着目したのが、設計事務所・サポーズデザインオフィス(東京・渋谷)を共同主宰する建築家であり、起業家でもある谷尻誠氏だ。同氏が発案者となって2020年6月末に、建築設計者やインテリアデザイナーなど、空間デザインを手掛ける実務者向けの検索サービス【TECTURE(テクチャー)】を立ち上げた。無料で利用できる。

 谷尻氏のほか、編集者の佐渡島庸平氏(コルク代表)、開発者の川田十夢氏(トルク、開発ユニット「AR三兄弟」のメンバー)らが参画。新たにtecture(東京・渋谷)を設立し、代表に山根脩平氏が就いた。山根氏は隈研吾建築都市設計事務所やLINEでの経歴を生かす。

 「空間デザイン事例の検索、建材・家具の製品検索、メーカーへの問い合わせまでをワンストップに行うことができる」「誰でも簡単に利用でき、従来のオフライン重視の働き方を一気に改革する新しいプラットフォーム」。プレスリリースのこんなキャッチフレーズを目にして、谷尻氏と山根氏に話を聞きに行った。