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 パナソニックは車載事業に関する合同取材会を2021年10月に開催し、次世代コックピット向けの統合ソリューションを発表した。車載情報システム(IVI)やメーター、HUD(ヘッドアップディスプレー)、電子ミラー、先進運転支援システム(ADAS)などを束ねる統合ECU(電子制御ユニット)「コックピットドメインコントローラ」を開発する。

 現在、自動車業界で起きているECUの統合化やSDV(ソフトウエア定義車両)への移行は、かつての携帯電話機からスマートフォンへの変化に似ている。統合ECU開発を指揮するパナソニックオートモーティブ社常務CTO兼開発本部本部長の水山正重氏は、過去に携帯電話機の技術責任者を務めた経験を持つ。

オートモーティブ社常務CTO兼開発本部本部長の水山正重氏
オートモーティブ社常務CTO兼開発本部本部長の水山正重氏
(出所:パナソニック)
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 「スマートフォンへの変化では、我々だけでなく日本の多くの携帯電話機メーカーが出遅れた。IT企業との連携よりも、自分たちで良いものを作ることに固執しすぎた。世の中がどんどんエコシステム型の開発形態に移っていたにもかかわらずだ。ここは大きな反省点だった」(同氏)。大規模な開発は1社ではできず、さまざまな企業がエコシステムを構成し、互いに強みを発揮していくことが重要と指摘する。

 技術の強みを持つことは重要だが、それによってクローズドな世界をつくり、特定の企業が支配する“ベンダーロックイン”の状況をつくり出すことは、「特にソフトの世界では信用されなくなるし、誰もついてこなくなる」(同氏)という。他社に迷惑をかけるような仕組みではなく、互いに発展できる仕組みを構築する必要がある。

 同社はこうした考えのもと、統合ECUの開発に際しては、IT企業との連携や、技術の標準化活動などに力を入れている。エコシステム全体の発展に貢献しながら、肝となる技術をしっかりと押さえることで、市場投入までのリードタイムを縮め、競争力を高めたい考えだ。

 肝となる技術の例として、ハイパーバイザーなどの仮想化技術を挙げる。同社は仮想化技術を手掛けるドイツOpenSynergy(オープンシナジー)を16年に買収した。オープンシナジーは米Google(グーグル)や同Qualcomm(クアルコム)と提携し、21年9月に「Android Automotive OS」向けの参照プラットフォームを実現した。

 「仮想化はクラウド分野ですでに標準化されているが、車載の場合にはクルマ特有の課題がある。コンピューター分野で標準化された技術を車載向けに拡張する。このような取り組みには非常に力を入れている」(同氏)。車載システムの高性能化や低消費電力化を実現するためには、ハイパーバイザーのような根幹の技術を自ら手掛けているかどうかが違いを生む。かつて携帯電話機向けの“システムLSI”まで自前で開発していた同社ならではのこだわりだ。

コックピット統合技術にオープンシナジーの技術を生かす
コックピット統合技術にオープンシナジーの技術を生かす
(出所:パナソニック)
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