全1283文字

 世界で急速に進む電気自動車(EV)への移行や、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転技術の広がりで、思わぬところに機能性が求められている。自動車のボディーを着色する塗料だ。化学大手のドイツBASFは、EVにおける消費電力を減らせる塗料や、ミリ波レーダーやLiDAR(レーザーレーダー)に対応する塗料を開発している。

 BASFは2022年9月、自動車ボディーの色に関する2022~2023年版の流行予測を発表した。これに際して、同社の日本法人BASFジャパン(東京・中央)が同月、戸塚事業所(横浜市)で説明会を開いた(図1)。

BASFジャパンが展示した自動車ボディーの色の一例
BASFジャパンが展示した自動車ボディーの色の一例
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 BASFは毎年、社会の変化や技術トレンドを分析し、3~5年後の自動車ボディーの色に関する流行を予測。これを基に顧客の自動車メーカーにボディーの色を提案している。今回、注目したのは「サステナビリティー(持続可能性)と機能性の2点」(BASFジャパン執行役員の前田 孝氏)という。

BASFジャパン執行役員の前田 孝氏
BASFジャパン執行役員の前田 孝氏
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 このうち、機能性の面で同社が訴求するのが、EVやADAS・自動運転への対応である。

 EV向けには、日射反射率の高い塗料の開発を視野に入れる。日射反射率の高い塗料をボディーに適用し、ボディー表面で効率的に太陽光を反射することで、車室内の温度上昇を抑えられるとする。これにより、夏場などにエアコンで使う電力を減らして、EVの航続距離の延長に寄与できる点を訴求する。

日射反射率の高い塗料を適用したボディーの色の一例(試作品)
日射反射率の高い塗料を適用したボディーの色の一例(試作品)
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 ちなみに、BASFジャパンコーティングス事業部カラーセンターアジアパシフィックマネージャーの酒井直也氏によると、米国では日射反射率についての規制が存在する。この値が65%を超えると、政府からの補助金交付の対象になるという。