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「女の子声」で使うのにためらいが…

 iliの特徴は「一方向翻訳」で「簡単操作」、「小型・軽量」、「どこでもすぐ使える」という点だ。

 「一方向翻訳」なので、日本語から英語に通訳できても、英語から日本語には通訳できない。あくまで使い手の意思を伝える道具だ。また、入力言語は日本語だけ。出力言語は英語と中国語、韓国語の3言語に限定されている。数十カ国語に対応している他の音声翻訳機やスマートフォンのアプリに比べて、機能を限定している。

音声翻訳機のiliを日本語から英語、中国語、韓国語それぞれへの翻訳に使ってみた。
音声翻訳機のiliを日本語から英語、中国語、韓国語それぞれへの翻訳に使ってみた。
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 機能を限定した分、操作が簡単。いつでもどこでも使えるというメリットがある。操作に必要なボタンは3つだけだ。側面の電源ボタンを押して起動。表面のメインボタンを押したままマイクに向かって喋り、ボタンを離せばすぐに翻訳してくれる。翻訳言語を変更したい時は、側面にある言語切り替えボタンを長押しするだけ。予想通りとはいえ、あっけないほど簡単だった。

 インターネットなしで使えるのも大きなメリットだ。入力言語や出力言語を限定し、専門用語にも対応しないから、クラウドの辞書などが必要ない。携帯電話の電波圏外とか、Wi-Fi環境の有無を気にする必要がない。

 全てにおいて「すぐ」なのだ。「すぐ」起動する。ネットワークに使えなくても「すぐ」使える。翻訳スピードはメーカー仕様によると「最速0.2秒」。事実、反応は素早く、「すぐ」翻訳してくれる。メーカー仕様によると、3時間のUSB充電で約3日間使える。つまり、「すぐ」充電できる。

 しかし、1点だけ戸惑ってしまった。出力が「女性の声」だったのだ。スピーカーから聞こえてくる、翻訳された英語も中国語も、そして韓国語も、すべて女性の声で発せられた。それも「女の子」の声に近い。男性の声に切り替えられないかと、取扱説明書の隅から隅まで目を通したが、どこにも音声切り替え機能は見つからない*3。購入したオンラインストアにも、出力の声に関する記述はなかった。この点についてはノーチェックだった。

 筆者は51歳だ。髪は銀髪。いくらアメリカでは日本人が幼く見えると言っても、寄る年波は隠しようもない。にもかかわらず、女性の(それも少女に近い)声の音声翻訳機を使ったら、笑われるのではないか——。使用する前から、そんな不安を抱えてしまった。

 後日、実際に使ってみたら杞憂(きゆう)に終わったのだが、この心理的なプレッシャーがあったため、7日間の取材期間でiliを使用したのは6日目。慣れない外国での展示会の取材でいっぱいいっぱいだったとはいえ、女性声が気になってなかなか使用に思い切れなかった。この意味でもビジネスではなく、旅行での使用が適切なのだと実感した。

*3 2018年10月26日時点では女性の声のモデルしか準備していない。