観光地や繁華街などを歩くと、多くの外国人観光客を見かけ、一部は新型コロナウイルス禍の前に戻りつつあることを感じる。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻により、水を差されたグローバル化だが、その動きも戻ってくるかもしれない。
今後、必要性が増してくるのがグローバル人材の育成だ。数年後、数十年後、国際舞台で活躍するリーダーの役目を担うのは、今の子どもたち。日本人の児童・生徒でも、英語で探究的な学びができることに魅力を感じてインターナショナルスクールを選ぶケースが増えているという。
筆者が取材したインターナショナルスクールには、共通する特徴があった。それは、教育カリキュラムの中に演劇やダンスなどを取り入れていることだ。そのため、学校施設にはこれらのパフォーマンスのための空間が欠かせない。各校の教育方針が反映されたパフォーマンス空間を見ていくと、新たな学校空間の姿が浮かび上がる。
全寮制のインターナショナルスクール「国際高等学校」(愛知県日進市)などを運営する、学校法人栗本学園の栗本博行理事長は「演劇や映画の授業は音楽や体育、言語など、学んだことを組み合わせてつくり上げる」と話す。子どもたちが主体的に考えて行動し、表現する能力が養われることも狙いだろう。
2022年8月29日に開校したばかりの「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン」(岩手県八幡平市)は英国の名門私立校「ハロウスクール」の日本校で、英国式のカリキュラムを採用している。
学業だけでなく芸術活動やスポーツなどにも力を入れるのが特徴だ。同校は講堂の他に、ドラマスタジオやダンススタジオを校内に設けた。ドラマスタジオは壁面やカーテンを黒色にし、暗転できるようにしてある。対照的に、ダンススタジオは生徒や先生の動きが映えるよう、白を基調とした。
22年9月に開校した国際高等学校は名古屋商科大学日進キャンパスの一角に立地する。寮を新設し、校舎は女子短期大学の旧校舎をリノベーションした。
同校は、国際的な大学入試資格を取得できる「国際バカロレア」の認定校になる準備を進めている。同プログラムの重要なカリキュラムの1つが、演劇の授業だ。国際高等学校は寮の中庭の高低差を生かし、生徒たちのパフォーマンスの場となる屋外ステージをつくった。