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 ユーザー企業がエンジニアを雇用し、自らシステム開発を内製する動きが活発化している。ITエンジニア向け転職サイトではユーザー企業の求人が多く見られるようになり、内製化の機運を感じている読者も多いのではないだろうか。

 日経クロステックでもたびたび、その動きを報じてきた。

変わる「システム開発はITベンダーに」の常識

 日本企業は長らくシステム開発をITベンダーに外注するのが一般的だった。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書」によると、国内で働くIT人材の7割超がIT企業に属する。対して米国ではユーザー企業に属する方が多くその比率は65%だ。多くの領域のシステムを内製できる米国企業に比べ、日本企業はある意味ITベンダーに開発を依存せざる得なかった。

 IPAが2021年10月11日に公表した最新の日米調査リポート「DX白書2021」でも、顧客接点を担い変化の激しいSoE(System of Engagement、エンゲージメントのためのシステム)領域のシステム開発手法について問うたところ、「内製による自社開発を活用している」と答えた日本企業は19.3%。一方の米国企業は逆に「活用していない」と回答した割合が14.6%だった。

IPAが2021年10月11日に公表した「DX白書2021」。この情報量の調査リポートを無料で見られることに驚きを隠せない
IPAが2021年10月11日に公表した「DX白書2021」。この情報量の調査リポートを無料で見られることに驚きを隠せない
(撮影:日経クロステック)
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 こういった「システム開発はITベンダーに依頼するもの」という、日本企業の常識が今、変わりつつある。デジタル戦略の巧拙が企業の成長を大きく左右するようになった結果、ユーザー企業が自らシステム開発できる力を身に付け、市場の変化に素早く対応できる体制を整えようとしているのだ。これまでデジタル活用で米国や中国などに遅れてきたとされる日本において、内製化は非常に歓迎すべき動きだろう。