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 「医師がウエアラブル端末を理解し、適切な活用に向けて準備する必要がある」――。ウエアラブル端末の取材中、多くの医師がそう話していたのが印象的だ。日常生活と医療をつなぐウエアラブル端末に期待している医師は想像以上に多かった。

 期待の1つは、疾患の早期発見につなげる「アラート」を発する役割である。ウエアラブル端末がデータを継続取得することで、これまで検知するのが難しかった疾患の兆候を見つけ利用者に通知する。

 疾患の早期発見につなげるアラートの役割については、日本では米Apple(アップル)の腕時計型端末「Apple Watch」が一歩リードしている。厚生労働省は2020年9月、アップルの「家庭用心電計プログラム」と「家庭用心拍数モニタプログラム」を医療機器プログラムとして承認。日本で使用できるApple Watch(Series 4以降)の通知機能の幅が広がる見通しだ。米国などでは2018年から提供されている機能がいよいよ日本でも解禁される見込みとあり、利用者の関心が高まっている。

腕時計型端末「Apple Watch」(右)と連動するアプリ画面。日常生活と医療をつなぐウエアラブル端末に関心が高まっている
腕時計型端末「Apple Watch」(右)と連動するアプリ画面。日常生活と医療をつなぐウエアラブル端末に関心が高まっている
(出所:Apple)
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 これまで国内のApple Watchの利用者は、自身で設定した数値のしきい値を上回ったり下回ったりする心拍数が続く場合に通知が届いていた。今回承認されたプログラムは、不整脈の1種である心房細動などの可能性がある心拍を利用者に通知する他、利用者が本体の竜頭(つまみ)に指を当てることで心電図の情報を提供する。心電図は心臓の動きを記録したもので、不規則な心拍の原因を突き止めるのに役立つ。