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 皆さんは「ユーザー会」にどのようなイメージをお持ちだろうか。ユーザー会とはある製品のユーザーが集まり、製品について情報交換したり事例を紹介しあったりする場のことだ。エンタープライズ向けのIT製品においてユーザー会は特に盛んで、特定のソフトウエアなどのユーザーを中心に集まるケースが多い。

 筆者はユーザー会に対し「最新製品の情報交換のため、『イケてる』エンジニアたちが集まる会」というイメージを持っていた。実際過去に参加して知っていたのは、大手クラウドベンダーやスタートアップが開催する「かなり使いこなしている」人たち向けのユーザー会だ。だが実際にはそういった会ばかりではない。

 例えば、NTTデータ イントラマートはWebアプリケーション開発基盤では老舗ともいえるベンダーだが、会社設立21年目にして同社製品「intra-mart」のユーザー会「intra-mart User Group(IMUG)」を2021年7月に新たに立ち上げた。IMUGを取材し参加者に話を聞いたところ、ユーザー会へのイメージが変わった。

「フードロス問題をどう解決するか」を話し合う

 IMUGの特徴は3つの「分科会」にある。intra-martの機能や用途について意見交換する「製品・サービス分科会」、活用事例やノウハウを共有する「課題解決分科会」、イノベーション創出のプロセスを学ぶ「イノベーション分科会」を設けており、ユーザーはそれぞれ関心のある分科会のイベントに参加する。2021年11月までに複数回、オンラインで各分科会のイベントを開催してきた。

IMUGを構成する3つの分科会の活動内容
IMUGを構成する3つの分科会の活動内容
(出所:NTTデータ イントラマート)
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 筆者が取材したのは2021年10月5日開催の「第2回イノベーション分科会」だ。意外に感じたのは「製品の話をしないのだな」ということだ。約3時間の会はその大部分を「フードロス問題をどう解決するか」について話し合うグループワークに割いた。いくつかのグループのディスカッションを見学したが、intra-martについての話はほとんど出なかった。

 イノベーション分科会に参加するトッパン・フォームズの鳥越秀執行役員フロンティア本部長は「製品の話に特化せず、イノベーションという枠で、企業間で意見交換できる点が助かる。課題解決につながるのであれば、もっと(NTTデータ イントラマートが製品を)提案してくれてもよいくらいだ」と話す。

 反対に、製品について深く議論したいユーザー向けには製品・サービス分科会や課題解決分科会を用意している。製品・サービス分科会に参加するバンダイナムコビジネスアークの暉(てる)由紀情報システム部ゼネラルマネージャーは「事例について他社と情報交換する場がほしかった」と話す。他社の製品には親睦会的な色合いが強いユーザー会も多いが、IMUGの製品・サービス分科会では生産的な意見交換ができるのだという。

第1回課題解決分科会のグループワークで話し合っている様子。意見集約には米ミロのホワイトボードツール「Miro」を使った
第1回課題解決分科会のグループワークで話し合っている様子。意見集約には米ミロのホワイトボードツール「Miro」を使った
(出所:NTTデータ イントラマート)
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