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 「新しい旅のかたち」を、1つのジャンルとして定着させたい──。

 「LOCAL DIVER(ローカルダイバー)」と名付けられたツアーサービスの取り組みが始動。2020年11月にはトライアルツアーに臨む。

 新事業に乗り出したのは、20年7月設立のLOCAL DIVER(東京・新宿)。設立メンバーで、共にLOCAL DIVER ディレクターを務める山崎満広氏、林厚見氏、嶋田洋平氏の3人はいずれも、建築・都市分野における活躍で知られる。

新会社「LOCAL DIVER」の代表には山崎満広氏が就き、ディレクターも務める(資料:LOCAL DIVER)
新会社「LOCAL DIVER」の代表には山崎満広氏が就き、ディレクターも務める(資料:LOCAL DIVER)
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 山崎氏は1995年に渡米し、12年から約5年間、米国ポートランド市開発局に勤務。独立後は、地域経済開発や都市デザイン、経営に関するコンサルティングに従事し、19年に拠点を東京に移している。都市再生の成功事例として脚光を浴びたポートランド市の取り組みを日本に紹介してきた中心人物だ。

 林氏は、建築・内装設計や建築・不動産の開発・再生プロデュースを手掛けるスピーク(東京・新宿)の共同代表を務める。中古物件中心のセレクトショップという観点で不動産サイトを運営し、リノベーション関連のサービスも提供する「東京R不動産」のディレクターの1人としても活動する。

 嶋田氏は、らいおん建築事務所(東京・豊島)の代表を務める。全国各地における遊休不動産を活用するエリア再生の取り組みをリードし、16年には日経アーキテクチュアが「10大建築人2017」(第2位)に選出。「これからの建築士賞」(東京建築士会)を受賞した神田川ベーカリーの経営でも注目される。

 新事業は、「地方にある隠れた宝物に触れ、地域の日常を旅する体験を提供するプラットフォーム」とうたわれている。提供するサービスは、7〜8人のグループツアーの形式を取る。

20年11月のトライアルツアーの対象になった徳島県「神山」の風景(資料:LOCAL DIVER)
20年11月のトライアルツアーの対象になった徳島県「神山」の風景(資料:LOCAL DIVER)
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 20年8月に行われた新事業リリースを記念するトークライブの場で林氏は、どれぐらいの人数で催行するのがよいか、ショートトリップかロングか、そもそも「ツアー」という呼び方が適切なのか、目下「定義は未定」と語っている。現時点で打ち出している特徴は、価値観や関心を共有する人を集め、「個人ではできない体験を提供する」というものだ。

 2000年代にニューツーリズムという言葉が知られるようになり、団体旅行から個人旅行に、観光の在り方が移行したとされる。対応するカテゴリーの1つとして、地域づくりと関連させる「体験型」の旅行商品に目を向ける動きがある。

 そうした中でLOCAL DIVERの面々は、写真映えする観光スポット頼みのツアーや名所巡りでは飽き足らなくなった旅行者を対象に、持続的な仕組みの構築に着手している。

 カスタムの体験型ツアーは既に存在はする。しかし、アテンドあるいは地元対応の面でコストや労力のかかる商品になると無理のない継続が難しい。団体でも個人でもないグループ旅行を旨とし、参加者の能動性に期待する格好としたのは、打開策の1つだ。代わりに旅をサポートする役目としては、各地域に「ローカルキュレーター」や「ローカルキャスト」を発掘・養成する。

LOCAL DIVERの「事業構造」(現在時点)。ツアー参加者と、LOCAL DIVER ディレクター(LOCAL DIVER Director)、ローカルキュレーター(Local Curator)、ローカルキャスト(Local Cast)の関係を示している(資料:LOCAL DIVER)
LOCAL DIVERの「事業構造」(現在時点)。ツアー参加者と、LOCAL DIVER ディレクター(LOCAL DIVER Director)、ローカルキュレーター(Local Curator)、ローカルキャスト(Local Cast)の関係を示している(資料:LOCAL DIVER)
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 都心と地方の間を行き来し、まちづくりに携わってきたディレクター陣の経験から導き出された事業に違いない。「どんなに無名で小さな地域にも、その土地の歴史や風土から培われた風景や生業(なりわい)、文化、そして生き方がある」(林氏)という着眼点も、まちづくり経験者であれば賛同できる点ではないか。

 旅を企画するローカルキュレーターは商店主やゲストハウスのオーナーなど、それぞれの場所に根差して活動する人たちが担当する。これを地域の仕事の1つに育て、「地元から出て行かずに、生業で稼ぎながら暮らしていけるようにする手段にできないか」と嶋田氏は考えている。

 また、林氏は「地域に持続的なエネルギーが生まれ、色々なまち、色々な場所が多様なかたちで残っていく結果につながるはずだ」と説明する。