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 「プログラムを組んでみたいのだけど」――。ノートパソコンを開きながら息子がこう言った。GIGAスクール構想により、児童や生徒に1人1台の端末が配布された。筆者の息子が通う小学校も遅ればせながらノートパソコンが行き届き、そのPCを自宅に持って帰ることになったようだ。パソコンで何かできないかを考えた末、プログラミングに挑戦したくなったらしい。

 2020年度から全ての小学校でプログラミング教育が必修化された。2025年度の大学入学共通テストには「情報」の科目が追加される予定で、プログラミングは情報教育の基礎づくりになる。筆者は大学時代に情報工学を専攻していたため、現場のエンジニアには遠く及ばないがそれなりのプログラミング知識はあると自負していた。息子にとって今後の学習のきっかけになればと思い、親子でプログラミングに取り組むことにした。

プログラミングを始める前に挫折

 まずプログラミング言語の選定から始めた。現在なら機械学習やAI(人工知能)のシステムの構築に向くPythonから始めるのが王道だと思うが、筆者はC言語を勧めてしまった。メモリーにアクセスする機能があるため、コンピューターの仕組みを理解しながらプログラミングできると考えたからだ。

 C言語の大まかな仕組みを説明した後、「ideone.com」というWebサイトを開き、実際にプログラミングを始めようとした。このサイトはプログラミング練習用のもので、様々なプログラム言語を記述して実行できる。

 最初に実装する予定のプログラムは足し算だった。小学4年生なので足し算や引き算はできるだろうと考えていたからだ。ところが息子の手はなかなか動かない。サンプルプログラムを紙に書き、渡してもPCとにらめっこしているだけだ。この時点で筆者は大きな間違いをしていることに気づいていなかった。