リスキリングという言葉を見かけることが増えてきた。言葉の意味は社員の業務内容が変化することに伴って、新たな業務で必要になる知識や技術を習得するために学習することを指す。最近では2021年3月から三井住友フィナンシャルグループが三井住友銀行などグループ企業の全社員5万人に対してデジタル教育を始めたことでも話題になった。
あおぞら銀行もそうした1社だ。2021年4月から全社員2000人を対象にDX(デジタルトランスフォーメーション)人材になるための研修を始めたほか、6月からはビジネスストラテジストやデータサイエンティストと位置づける、より高度な人材育成も始めた。このように大規模なリスキリングに着手する企業が続々と出てきているのが現状だ。
背景には社内をDXしたいという強い考えがある。ただしそこで必要になるデータサイエンティストなどデジタル人材は市場で引く手あまたで、金額面や人材のスキル面を考えると中途採用は簡単ではない。苦労して採用しても、「すぐに辞めてしまって困った」という金融機関もある。ほかにも中途採用だと社内の業務知識をつけるのに苦労するケースもあるという。採用コストや業務知識の獲得といったことを考慮すれば、リスキリングによって社内人材を育成するのは自然な流れだと思える。